流れ星に願いを唱えると、その願いが叶う。
昔からそう聞いていたから、私は頭を深々と下げてお願いした。
『どうか、傘に入れてくれるような優しい友達が…本当の
友達が出来ますように』
…って。
だけどいざ雨が降っても、誰も傘には入れてもくれないし、当然仲間にも入れてくれない。
こんな嘘だらけの伝説を今でも信じている人がいるなら、不憫でならない。
こんなもの、雨と一緒に消えれば良いのに…。
きっとこの世には何もいらない。
歴史を辿ってみても、何もなかった縄文時代が一番平和だったんじゃないかって教科書を見るたびに思う。
そう思うたびに今がどれほど辛いのかを実感してしまう。
確かに縄文時代の人も辛いことはあったと思う。
だけど偏見とかそんなものなかったし、ブスとかそういう汚い言葉だって少なかったはずだ。
今が出来るまでに色々なことした人は世界で過大評価されてるけど、私はそうは思わない。
むしろ、この汚い世界を作り出した極悪人にしか見えないのだ。
だから、何もない世界に…いきたいな。
自分の世界を作るという課題が美術の時間に出た。
みんな楽勝と言わんばかりの顔をして筆を進める。
そんな中、私は描いているふりをしてぼーっとしていた。
何も描けないのだ。
自分の世界なんて考えたこともない。
色なんてない。景色なんてない。何もない。
結局、私はこの課題をクリアすることが出来なかった。
けど、先生はクスリと笑ってこう答えた。
『無色の世界…貴方らしいわね』
なんだか、とても恥ずかしい気持ちになった。
ずっと、考えていたことがあった。
もし、私がここではない、どこかで生まれたのなら…私はどうなっていたんだろうって。
もっとお金持ちの家に生まれれば我儘に。
もっと平和な家に生まれれば優しく。
もっと、もっと…ってずっと考える。
考えて考えて、今の現状に嫌気がさして。
無意味な妄想の繰り返し。
なんとなくたどり着いた山。
綺麗な高台の上で、私は遠くの空へ向かって叫んだ。
死にたいと。
死にたいという綺麗なやまびこが跳ね返る。
5回…7回…と、どんどん薄れていく私の声は最後に何かを言っていた気がした…。
それはきっと、私が一番聞きたくないセリフ。
さて、なんだか分かりますか?