眠れないほど苦しくて不安な夜は、誰かの温もりに触れたくなる。
そしてその誰かの中で静かに涙を流して眠りたい。
眠った後はそのまま目覚めることなく、夢の中で幸せな思い出を旅したい。
そんな幻想を抱いて、私は今日も目を開く。
こんな日々、もう耐えられない。
誰か助けて…。
あなたにだけは、さよならは言わないで欲しかった。
そんな悲しそうな顔しながらさよならって言われても、どうしようもないじゃないか。
引き留めたら迷惑をかけてしまうかもしれない。
引き留めなかったら後悔するかもしれない。
伝えたいことなんていくらでもあるのに、なんでか頭の中がごちゃごちゃで言葉が出てこない。
だからせめて、最後に残る自分の顔が笑顔であるように、僕は精一杯の笑顔で叫んだ。
『…さよなら!』
「光と闇の狭間で」
という本を手に取った。
主人公が光と闇の中をただ彷徨う、少し暗い話だったけど、なんとなく好きだなと思った。
この主人公は、自分が光にいるのか闇にいるのか、結局分からずじまいだったみたいだけど、私はどうなんだろう。
光にいるには幸せが足りないし、闇にいるには不幸が足りない。
結局は私もこの主人公と同じ、ただ彷徨うだけの旅人に過ぎないのかもしれない。
親友とは、幼稚園からの付き合いだった。
苗字が同じだったから、周りからは双子みたいだなんて言われてたっけ。
けど中学生になった時から私たちは友達になったよね。
最初は私と同じくらいのレベルだったのにさ、なんか知らない間に完璧人間になっちゃって。
もう手の届かない人になったよね。
あなたとの距離を言葉で表すなら、天と地だと思う。
私が親友だったこと、きっと覚えてすらいないよね。
ごめんね。
幼稚園に職場体験しに行った時のこと。
おもちゃを取られて泣いている女の子がいたので、私は
『泣かないで』
とその女の子を慰めた。
するとその女の子は、泣くのを一瞬やめて、
「泣かないでって言われて泣き止む子なんていませんよ。
そんなんで幼稚園の先生目指してるんですか?
笑えますね」
と嘲笑うように言い、また泣き出した。
そして私も泣き出した。