海の底
海の底はとても暗い
とても暗くて恐ろしい
暗闇のようで上下も左右も分からない
そこに有るのはただの暗闇
僕も同じようだ
僕の心も海の底のようにただ…ただ暗い
君に会いたくて
君に会いたくて歩いた道を戻ってみた
けれどその道はどこにも見当たらない
目の前にあるのはただ真っ直ぐな細道
そばに居たい、会いたいって叫んでも
君の背中は遠く今にも消えそうなのに
この想いはずっと消えないから信じて
小さい声だけどそう言われたみたいで
涙が一粒スッと零れたのを今も忘れない
君も必ずまた明日があると信じている
だから一歩一歩でいい、前に進むんだ
君に会いたくて
閉ざされた日記
部屋の片付け中、どこか懐かしい日記を見つけた。
砂のような色をしていて厚い本のようだ。
しかしその日記には鍵が掛かっている。
僕は近くに鍵があるだろうと、
日記が入っていた箱の中を掻き分けるように探した。
僕は不思議に思っていた。
こんな古い日記なんてどうでもいいはずなのに。
しばらく探しても、鍵なんてどこにもない。
幸い、鍵がなくても開けれそうだった。
道具を持ってきて中身を確認しようとした時、
僕は何故か涙が零れた。
あれ、なんで泣いてるんだろう
その日記には何も書いてなかったが、
写真が1枚挟んであった。
向日葵の背景に仲良しそうな3人組が映っていた。
写真の裏に日付と“約束”が書いてあった。
僕ははっとした。
なんでずっと、忘れていたんだろう。
今はもう薄暗いけどそんなの関係なく
僕はあの場所に向かって走った。
走って、走って、走って、走りまくった。
ずっと走ってやっと、あの写真の場所に着いた。
人影が見えて話し掛けてみると、
懐かしい声で僕の名前を呼ぶ。
閉ざされた日記
木枯らし
木枯らし。
僕はこれを見た時木が枯れるのか?と思った。
意味が気になるので調べてみたら、
季節が秋から冬へと変わる時期に初めて吹く北よりの強い風のことだって。
へぇ、勉強になる。
まだまだ知らない言葉が沢山あるんだな。
美しい
君は夏に遠くへ転校すると
帰りの電車で告げた。
時間が止まったかのように
頭の中が真っ白になった。
これは親の都合だから、と
君はそう言った。
LINEは繋げているけど
話は続かなくて気まずい。
君はいつも子供思いで
自分の為に皆の為に努力出来る。
僕も沢山支えられてきた。
「ありがとう」の一言も
全然上手く言えなくても
君は大丈夫だよと笑ってくれる。
「ごめんね」も言いたいのに
君が居ると素直になれなくて。
勉強の合間に話しかけてくれるけど
つい、素っ気なくしてしまう。
君に僕を見てもらいたくて
身だしなみに気を使ったり
気持ちを伝える練習をしてみた。
でもなかなか上手くいかなくて
君は僕じゃない違う人と…なんて
考えてしまうんだ。
君が決めることなのに
誰かに取られたくない、不安に
なってしまって夜も寝れない。
君が居るから、頑張れるんだ。
転校先では僕より綺麗な人が
沢山居るんだよね。
転校してもたまに遊べるし
LINEでも手紙でも話せる。
でもお互い成長して社会人になったら
この気持ちは変わっているかもしれない。
君は大切な人に出会うかもしれない。
君の人生は君だけのもの。
分かってるんだよ、分かってる。
でも色々考えていくと
色々な気持ちが混ざって複雑になる。
僕はどうしたいんだろう。
あぁ、胸に大きく穴が空いたみたいだ。
まだ時間は沢山ある。
君と話したこと、遊んだこと、
笑ったこと、喧嘩したこと。
この思い出はきっと忘れない。
これからの思い出も必ず。
夕日に照らされた君の横顔。
近いけれどなんだか遠くて、
美しい残酷さを味わう。