美しい
君は夏に遠くへ転校すると
帰りの電車で告げた。
時間が止まったかのように
頭の中が真っ白になった。
これは親の都合だから、と
君はそう言った。
LINEは繋げているけど
話は続かなくて気まずい。
君はいつも子供思いで
自分の為に皆の為に努力出来る。
僕も沢山支えられてきた。
「ありがとう」の一言も
全然上手く言えなくても
君は大丈夫だよと笑ってくれる。
「ごめんね」も言いたいのに
君が居ると素直になれなくて。
勉強の合間に話しかけてくれるけど
つい、素っ気なくしてしまう。
君に僕を見てもらいたくて
身だしなみに気を使ったり
気持ちを伝える練習をしてみた。
でもなかなか上手くいかなくて
君は僕じゃない違う人と…なんて
考えてしまうんだ。
君が決めることなのに
誰かに取られたくない、不安に
なってしまって夜も寝れない。
君が居るから、頑張れるんだ。
転校先では僕より綺麗な人が
沢山居るんだよね。
転校してもたまに遊べるし
LINEでも手紙でも話せる。
でもお互い成長して社会人になったら
この気持ちは変わっているかもしれない。
君は大切な人に出会うかもしれない。
君の人生は君だけのもの。
分かってるんだよ、分かってる。
でも色々考えていくと
色々な気持ちが混ざって複雑になる。
僕はどうしたいんだろう。
あぁ、胸に大きく穴が空いたみたいだ。
まだ時間は沢山ある。
君と話したこと、遊んだこと、
笑ったこと、喧嘩したこと。
この思い出はきっと忘れない。
これからの思い出も必ず。
夕日に照らされた君の横顔。
近いけれどなんだか遠くて、
美しい残酷さを味わう。
1/16/2024, 11:09:44 AM