「プレゼント」
君に渡すつもりだったプレゼント
形にならなかった気持ち
伝えたかった言葉も
胸の中で詰まったままで
選んだのは、君が喜んでくれるもの
でもその瞬間が来る前に
私はその贈り物を
手のひらからこぼしてしまった
本当は、その中にある全てを
君に届けたかったのに
だけど、君には届かない
その想いが、切なくて仕方がない
ゆずの香り
駅のホームでふと香ったゆずの香り。
その香りに導かれるように歩くと、目の前に現れたのは、
昔通っていたカフェのオーナー、リョウさんだった。
「おお、久しぶり!」
リョウさんは笑いながら、手にゆずを持っていた。
「これ、君にちょうどいいと思って。」
「え、なんで急にゆず?」
私は驚きながら聞いた。
リョウさんは少し照れくさそうに言った。
「君が好きだったジャム、覚えてる?それを作ったんだ。」
「あのジャム…」
私は懐かしさに微笑んだ。
「君にもぜひ試してほしいな。」
リョウさんはジャムを手渡してきた。
「ありがとう。」
私はそれを受け取ると、ふと心が温かくなるのを感じた。
その香りが、あの頃の静かな記憶を呼び起こし、
私は少しだけ胸が締め付けられるような気持ちになった。
でも、それでも歩き続ける。
あの頃の私が、今もどこかに残っている気がしたから。
『大空』
大空を見上げると、自由すぎてちょっと不安になる。
あまりにも広くて、まるで何も決められないような気がしてくる。
風が吹いても、何も指示してくれないし、
雲も、どこに向かっているのかさっぱりわからない。
空はただ広がっていて、
その広さが時に圧倒的で、動きたくなくなることもある。
でもその一方で、どこへでも行けるような気もする。
大空のように自由になりたくても、結局、どこから始めていいのかが分からない。
それでも、いつか空のように、迷わず羽ばたける時が来るのかな。
「寂しさ」
週末になると、いつも寂しさがやってくる。
何も予定がない日は、朝から何となく空虚な気持ち。
外に出ることを考えてみても、
誰に会いたいわけでもなく、どこへ行くべきかもわからない。
それでも、無理にでも動こうとして、
近所のカフェに向かう。
席に座ってみると、周りは楽しそうに話しているけれど、
私はただコーヒーをすするだけ。
なんでこんなに、
自分だけ取り残されている感じがするんだろう。
スマホを見ても、
誰からも連絡がない。
「まぁ、そんなものだよね」と自分に言い聞かせるけれど、
心の中に小さな空虚感が広がっていく。
でも、帰り道で気づく。
寂しさは、無理に消そうとしなくても、
ただ時間が経つだけで少しずつ薄れていくものだって。
結局、今日も自分一人で過ごすけれど、
それも悪くないと思えるようになった。
『冬は一緒に』
冬の寒さ、君と一緒なら温かいはずなのに、
勇気が出ないまま、ただ雪を見てるだけ。
君が笑ってると、
心が溶けそうになるけど、
結局は『寒いね』としか言えない自分に、
雪より冷たい気持ちが降り積もる。