『とりとめもない話』
①時計が止まった日
「部屋の時計、いつの間にか止まっててさ。」
「あるある。時間が止まったみたいに感じるよね。」
「動かない時計って、なんか…落ち着く時もある。」
「わかる。でも気づくと、慌てて時間確認しちゃうんだよね。」
「時間って、不思議だね。止まってると気になるのに、進んでると追いつけない。」
②コーヒーと砂糖の話
「コーヒー、いつからブラックで飲めるようになった?」
「高校くらいかな。でもまだちょっと苦い。」
「私、砂糖とミルク絶対入れる派。」
「甘くないと無理?」
「ううん、苦いのも嫌いじゃないけど、ちょっと甘さがほしいだけ。」
「なんかさ、大人になっても完全に苦いものばっかりじゃつまんないよね。」
こういう、なんでもない話ほど、
あとでふと思い出して、
なんとなく笑える。
「風邪」
風邪が訪れて、
何もする気が起きない。
お茶とティッシュ、
ただそれだけが私の世界。
暖かい布団に包まれて、
外の音が遠く聞こえる。
風邪は静かに、
でも確実に、私の一日を支配する。
『雪を待つ』
雪が降ることを、私はまだ知らない
ただ、冷たい空気が心に触れて
冬の匂いが遠くからやってくる
空は灰色、けれど優しい色
静けさの中で何かを待つ時間
それは、私の中にだけ降る雪のようで
「降るかな、今日」
そんな風に君の言葉を待つ
どこかで、少しだけ期待して
降らないとしても、
その空を見上げることが好きだから
白く染まる街を想う
それはたぶん、私の心が
君のことで、また真っ白になる瞬間
――雪は、待つ人のところに降るのだと
誰かが言っていた
なら、君はいつ、私の冬に降るのだろう
『イルミネーション』
イルミネーションの光が
寒空に散りばめられた星のように輝いて
冷たい風に乗って、街を包み込む。
「こんなにも綺麗なのに、
なんでひとりなんだろう?」
ふと思ったその瞬間、
自分にツッコミを入れたくなる。
「いや、だって、誰かと来るのもいいけど、
ひとりでもこの光を楽しめるって、なんかカッコいいでしょ?」
でも心のどこかで、
君と一緒に見たあの光が
今も鮮やかに蘇る。
「ああ、もう…結局、
またひとりで来てるんだな、私。」
でも、少しだけ誇らしい気もする。
だって、このイルミネーションが
私を包んでくれるから。
一緒にいるはずの人がいなくても、
光は消えずに、
私を少しだけ明るく照らしてくれる。
それだけで、なんとなく
今日もやっていける気がするんだ。
「愛を注いで」
君に愛を注ごうとしたけれど、
そもそも、愛って何だろう。
恋の言葉はいつも口にするけれど、
その意味が本当に分かるのは、
きっと君といる時だけ。
思っているだけじゃ足りないと知って、
勇気を出して言葉を伝えたけれど、
君の笑顔はそれだけで答えのように感じて、
言葉よりももっと深いところで繋がっている気がした。
でも、愛を注ぐっていうのは、
たぶん、無理に形にしなくてもいいんだろう。
君が好きだってことが、
伝わればそれでいい。
だから、次もまた、何も言わずに
ただ君のそばにいるだけで満足だよ。