「仲間」
仲間って、
楽しい時は一緒に笑ってくれるけど、
失敗したら爆笑してくる。
「助けてよ!」って言ったら、
「それが面白いんじゃん!」って返してくる。
でも、
ピンチの時には絶対そばにいる。
そしてまた、
笑わせてくる。
やっぱり、仲間ってずるいよね。
「手を繋いで」
私たちはいつも、
何も言わずに手を繋いで歩いていた。
言葉なんてなくても、
その温もりがすべてを教えてくれる気がして。
でも、本当は怖かった。
君の手が、私じゃない誰かのものになったら、
このぬくもりを忘れられる自信がなかったから。
「手、冷たいね」って君は笑って、
私の手をそっと包んでくれる。
その優しさが嬉しくて、切なくて、
何度も心の中で叫んでいた。
「このまま時間が止まればいい」って。
でも、現実は冷たくて、
君の手が私の指先から離れた瞬間、
何か大事なものが音もなく壊れた気がした。
それでも私は笑って、
「またね」なんて言うんだ。
君に届かない声で。
「ありがとう、ごめんね」
ありがとう、君が見せてくれた世界の広さ。
本の中に、言葉の中に、未知が詰まっていた。
ごめんね、知識を追いかけるばかりで、
君の声を聞き逃してしまった日々。
ありがとう、ごめんね。
君がいなければ、私の世界はもっと狭かった。
でも君と一緒に、まだその先を見たいんだ。
「部屋の片隅で」
部屋の片隅で見つけた
少し欠けた写真立て
笑っているのは、
まだ未来を知らない自分たち
埃を払うと、
手に付く細かな粉が
過ぎた時間の重さを語る
部屋の片隅には、
戻らない日々の残響が眠っている
触れれば温かくて、
けれど少し冷たい
あの日の自分に何か伝えるなら
「そのままでいいよ」って言うだろうか
それとも、ただ黙って頷くだけか
片隅でひとり思い出す
過去も未来も混ざり合うこの瞬間
写真を戻し、また時を重ねる
「逆さま」
逆さまにしたら、
世界の音が変わり、
空は足元に広がり、
地面は遠くの空に漂う。
まるで夢の中にいるようで、
それが現実だと知っているから不思議だ。
涙も笑顔も逆さまに流れ、
思い出が逆転して映る。
あの日の言葉も、
今の心の声も、
すべてが反転して、
新しい形に生まれ変わっていく。
逆さまでも、
少し違うだけで、
何もかもが新しく見える。
失ったものも、
その向きを変えたら
手のひらの中に戻ってきそうで、
希望が見え隠れする。
逆さまにしたって、
それでも私は私。
どんな角度でも、
心はまっすぐに前を向いている。