正直限界だった
彼の愛が私に向いていないのは分かりきっていた
私は彼の1番がよかった
全部の愛を向けてほしかった
でもそれは叶わない夢らしい
私は彼の胸にナイフを突き刺し_
なんてことができれば満たされたのかなあ
_No.18 こんな夢を見た
もういいかい
まあだだよ
いちばん仲良しのお友達、みーちゃんが行方不明になった。
昨日かくれんぼをして遊んでからお家に帰ってないって。
警察に何時間も話を聞かれた。
みーちゃんは鬼だった。
その他数人と遊んでいたが、何分経っても鬼が私たちを探しに来ることはなかった。
みーちゃん以外のみんなで集まって、
誰も見つからないからつまらなくなって帰っちゃったんじゃないかと話し合って解散した。
皆が同じことを警察に話したという。
手がかりは、ゼロだった。
数日、数週間、数ヶ月経ったが、とうとうみーちゃんが見つかることはなかった。
でも、それでよかった。
だってみーちゃんは鬼だったから。
私、見てた。
担任の先生が、みーちゃんが怪我したから家まで車で送り届けると連れていったこと。
それが彼女を見た最後だったことも。
「この消しゴム可愛いね、ちょうだい」
みーちゃんは私の一番仲良い、お友達。
いっぱい色んなものをあげた。
みーちゃんが何かをくれることはなかった。
みんな、あの子のことが怖かったから何も言わない。
みーちゃんはずっと鬼だった。
本当はね、知ってたけど
警察には話さなかった。誰も。何も。
もういいかい
まあだだよ
まあだだよ
まあだだよ
まあだだよ
_No.17 心の片隅で
「本当に大切なものは、目には見えない」
あまりにも有名すぎるこの言葉は、フランスの作家が綴ったものだ。
SNSが身近である現代でこそ必要な言葉だと思う。
小さい頃は空を見上げることが好きだったのに、今は手元の小さなスマートフォンばかり見ている。
ピロン、と電子音が鳴ると私はすぐさまメッセージアプリを開いて返信を確認した。
『ごめん』
その一言、だった。
冷えきった関係のパートナーから送られたメッセージ。
どれだけ話し合いを重ねても私たちの距離が再び縮まることはなかった。
こんな重さも感じない、文字だけで私たちの4年間は終わるのか。
彼がどんな思いで結論を出したかわからない。
今どんな顔をしているのかわからない。
それがとても悔しかった。
記念日にくれた、右手の薬指に光るブルーサファイアのリングがとてもくすんで見えた。
荷物を整理して、彼の部屋から出る時にやっと涙が出た。
きっととても困らせただろう。
これは私が彼の態度や行動しか見ていなかったことが原因なのに、今更、泣くなんて。
彼は最後に私を抱きしめて、ありがとうと言った。
顔は見えなかった。
帰路に着く。流れる水の音が聞こえる。
ふと、寒く澄んだ夜空を見上げた。
星たちは昔よりずっと、見えづらくなっていた。
まばらな青白い輝きがブルーサファイアのリングと重なって見えたから、かじかんだ手でしっかりと握りしめる。
さようなら。
思いっきり、川に向かって投げた。
きらりと反射して、まるで流れ星だ。
もうこれはいらない。
うん、大丈夫。
夜空に星がなくても
きっとひとりだって歩いて行ける。
いつだって本当に大切なものは、
私の中にあるから。
_No.16 星になる
拝啓
何にもなれなかった私へ
お元気ですか。
私は今、断崖絶壁の前で立ち止まっています。
目の前には暗闇ばかりで、
道があるようには思えないのです。
隣を走っていた友人は既に、暗闇の中に消えていきました。
皆その先で、光が見えると口々に言います。
私は暗闇に身を投じることが怖くて怖くてたまらないのです。
みんなみんな、私を置いてどこかへ行って、
何者かになってしまう。
当の私は何にもなれないままで。
…あなたは、自分の進む道へ歩いてください。
いつかどこかで立ち止まってもいいから、
毎日がむしゃらに何かを追い求めて
なにかになろうとした日々を忘れないでください。
そして、また何にもなれなかったら
この手紙を書いてください。
そしたら、私はまたあなたに会える。
ひとりじゃないと思えるのです。
二度と…
二度とこんな私に出会わないように。
願いを込めて。
敬具
_No.15 秘密の手紙
ここが現実か、夢か、わからない。
誰でもできるからと始めた文字書きは、まるで自分の言葉じゃないように思えた。
見たことある景色
見たことある言葉
見たことある文
全部私のじゃないみたいだ。
それでも、手放せなかった。
待って。行かないで。
今はもう会えない人が、遠くへ行ってしまう景色が見えた。
夕焼け。教室。公園。
思い出すのはいつも同じ景色だ。
ピアノが鳴っている。
だって、夢なんだから。
もういないんだから。
現実だと思っていたかった。
わからないを、わからないままにしていたかった。
大人になってしまった
私には、もう
_No.14 夢の断片