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「本当に大切なものは、目には見えない」

あまりにも有名すぎるこの言葉は、フランスの作家が綴ったものだ。
SNSが身近である現代でこそ必要な言葉だと思う。

小さい頃は空を見上げることが好きだったのに、今は手元の小さなスマートフォンばかり見ている。
ピロン、と電子音が鳴ると私はすぐさまメッセージアプリを開いて返信を確認した。

『ごめん』

その一言、だった。
冷えきった関係のパートナーから送られたメッセージ。
どれだけ話し合いを重ねても私たちの距離が再び縮まることはなかった。
こんな重さも感じない、文字だけで私たちの4年間は終わるのか。
彼がどんな思いで結論を出したかわからない。
今どんな顔をしているのかわからない。
それがとても悔しかった。

記念日にくれた、右手の薬指に光るブルーサファイアのリングがとてもくすんで見えた。

荷物を整理して、彼の部屋から出る時にやっと涙が出た。
きっととても困らせただろう。
これは私が彼の態度や行動しか見ていなかったことが原因なのに、今更、泣くなんて。
彼は最後に私を抱きしめて、ありがとうと言った。
顔は見えなかった。

帰路に着く。流れる水の音が聞こえる。
ふと、寒く澄んだ夜空を見上げた。
星たちは昔よりずっと、見えづらくなっていた。

まばらな青白い輝きがブルーサファイアのリングと重なって見えたから、かじかんだ手でしっかりと握りしめる。

さようなら。

思いっきり、川に向かって投げた。
きらりと反射して、まるで流れ星だ。

もうこれはいらない。

うん、大丈夫。
夜空に星がなくても
きっとひとりだって歩いて行ける。


いつだって本当に大切なものは、
私の中にあるから。


_No.16 星になる

12/14/2025, 9:55:03 PM