拝啓
何にもなれなかった私へ
お元気ですか。
私は今、断崖絶壁の前で立ち止まっています。
目の前には暗闇ばかりで、
道があるようには思えないのです。
隣を走っていた友人は既に、暗闇の中に消えていきました。
皆その先で、光が見えると口々に言います。
私は暗闇に身を投じることが怖くて怖くてたまらないのです。
みんなみんな、私を置いてどこかへ行って、
何者かになってしまう。
当の私は何にもなれないままで。
…あなたは、自分の進む道へ歩いてください。
いつかどこかで立ち止まってもいいから、
毎日がむしゃらに何かを追い求めて
なにかになろうとした日々を忘れないでください。
そして、また何にもなれなかったら
この手紙を書いてください。
そしたら、私はまたあなたに会える。
ひとりじゃないと思えるのです。
二度と…
二度とこんな私に出会わないように。
願いを込めて。
敬具
_No.15 秘密の手紙
12/4/2025, 4:57:02 PM