【鏡の中の自分】
鏡の中の私は、笑っていた。
鏡のこちら側で泣いている私を嘲笑うように。
人を下に見ることでしか優位に立てない可哀想な笑み。
しばらく見つめていると、ゆっくり唇が動く。
"消えちゃえばいいのに"
鏡の中の私は、泣いていた。
鏡のこちら側で笑っている私を憐れむように。
悲劇のヒロインぶっただけの涙。
気持ち悪い視線を向けてくるから、口パクで伝える。
"消えちゃえばいいのに"
「消えちゃえばいいのに。私なんか」
fin.
【眠りにつく前に】
眠りにつく前に思う。
明日は、今日よりもっといい日に
なったらいいなって。
【永遠に】
永遠、なんてないと思う。
私が中学校の3年間を捧げたアイドルたちは、目にも止まらないスピードで辞めていった。
大好きな人がいなくなる感覚。
別の道に進む彼らを応援する気持ちはあっても、素直に「いってらっしゃい」は言えなかった。
帰ってこない「いってらっしゃい」なんて、悲しすぎる。
でも、「おかえり」を言う私たちを残してくれているのが明日デビュー日を迎える彼らだ。
この数年間、私は待つのが得意になった。
帰ってきてくれるのがわかりきっているから。
痛いだけのオタクかもしれないが、信じている。
信じて、「おかえり」を言うことだけが使命だと思う。
fin.
【理想郷】
「東京に行きたい」
家族に言うのは初めてだったけれど、ずっと考えていたことだった。
「東京なんて、やめておきなさい」
母にそう反対されるのはわかりきっていた。
「東京に行って、何がしたいんだ?」
父だけが落ち着いて話を聞こうとしてくれる。
まぁ、本当は落ち着いていないのかもしれないけれど。
「東京で、音楽の勉強がしたい。ここよりもっと広い場所で自分の才能を試してみたい」
「東京なんて、行かせられない。よく考えなさい」
そう言って、母は台所に向かった。
「…考えた結果だよ。ねぇ、」
わかってよ。
いつの間にか父もいなくなっていた。
未来への道は、閉ざされたまま。
fin.
【懐かしく思うこと】
今回のテーマは、何も思い浮かばなかったです。
でも、続けてる記録が途絶えるのも気持ち悪いので、この文章だけ上げさせていただきます。
今日は、もうちょっと頑張ります。