ああ 外に出てみたい
昔から身体が弱かった
外で遊ぶ子供を横目で見てはまた眠りにつく そんな生活
お正月で気持ちが浮ついているのか
寂しいなんて感じることは無かったのに
真夜中 裸足で庭に出た
久しぶりの感覚 足裏が土に汚れる
神社から鐘の音がする
「 日の出 ? 」
好奇心は危ないもの 昔から分かっていたはず
なのに
なのになあ
息を飲むほど綺麗で ずっとここにいたくて
久しぶりに歩いたからか 少し息が上がって
いや 綺麗で綺麗で 身体が驚いてしまったのかな
水平線が歪む
この身体を恨むことしかできない
そんな私が嫌いだ
フィクション
「来年も私達一緒にいられる?」
「ええ もちろん」
「いきなり居なくなったりしないでね」
年越しそばを食べて テレビを見て一緒に過ごす
幸せの後に来る喪失感は
いつも貴女を不安にさせる
大丈夫 きっと
来年も再来年もその先も
「 明日神社にお祈りに行こう」
「え いつも行かないって」
「神様にお願いしたいことがあるの」
「何をお願いするの?」
「 秘密 」
『良いお年を』
貴女の隣で目を閉じる
ありきたりな幸せが この先も続きますように
フィクション
白くてもう脈を持たない貴女の横に甘いみかんを添えた
「お母さんがね 私の採ってくるみかんは酸っぱいって 」
「ねえ 甘いのってどうやって見つけるの?」
「実が硬いのはまだ成長してないから酸っぱいの」
教えたあともくるのは変わらず酸味の強いみかんだった
私は彼女の 何を見ていたの
「神経疾患」 貴女が居なくなる前に医者が言ってたの
硬さが分からなかったのは 感覚が鈍かったから
匂いも味も まともに感じられなかったんだ
最期まで 私に嘘をついていたの
喜楽を忘れていく貴女の顔 焦点の合わない貴女の瞳
結び付いたようで 苦しくて 箱を閉じることが出来ない
ああ ごめんなさい 。気付いてあげられなかった
酷い焦げ臭さ 微かな柑橘の匂い
幾ら涙を流せばこの火が消えてくれるのか
フィクション
想っている人がいる時 長期休暇って酷く苦痛に感じる
もうすぐ卒業で あと何回話せるのかも分からないのに
貴方を見ることすら出来ないなんて
連絡先だけでも知ってたら今頃変わってたかな
外は寒いけど
買い物に行ったらばったり会えたり しないかな、
いつか貴方と
休みも一緒に居れる関係になりたいなあ
なんて
1月のカレンダーを眺めて また会えるのを待ち侘びている
ノンフィクション
「眠い眠い眠い」
去年までの私はならきっと今頃
家族や友達とパーティーでもしてるはずだけど
受験生の恋人は勉強 らしい
好きになれるわけないだろう
「点Pお願いだから動かないでほしいな 」
点Pが動かなかったところで求め方は知らないんだけど
家族は私以外全員 インフルエンザ
何故か元気な私が自室に隔離されている 何故だ
冬休み後には私立入試
過去一楽しみではない冬休みが始まってしまった
今年は理系頭脳が欲しいな サンタさん
ノンフィクション