欠損品

Open App
12/24/2024, 12:19:45 PM

「 ああ 彼氏欲しい 」
「ほんとに毎年言ってるじゃん」
「え なんか毎年イルミネーション○○と来てる気がする」
「え それな しかも毎年イブね」
「そう笑 」
「本当は彼氏作って行きたいのに
なんで毎回隣にいるのは○○なんだ 」
「こっちが聞きたい」

カップルだらけのイルミネーションパーク
何故か いつもの流れで手を繋ぐ

「はい口開けろ」 「ん笑 え美味」 「それな天才」
「なんかこんなことしてると同性好きな人みたいじゃん」「しぬ笑」

どこかで聞いた
女の子の友情は 性欲のない恋愛だと

「てかあんた今日の服かっこいいやん」
「 照れちゃうわー」 「うんまじ似合ってる 笑」

ねえ
私は意識しちゃってるよ

「あ、ねえ 聞いて」 「 ん?」 「好きぴがさ 」

ああ

「またその話?」 「聞いてくれよー 」

かなわない


フィクション
会話は実際のものがほとんどです

12/23/2024, 11:03:55 AM

10月31日 私の兄の誕生日だ

毎年プレゼントは何がいいかってソワソワしてた
質より量を好む人だったから
よくお菓子を箱いっぱいに詰めて渡してたっけ

お返しは毎年帰ってこないけど 毎年渡してた
家族に 兄にプレゼントを渡すのが好きだった。

けど いつの日か 兄は変わってしまった
もうあげる物もない 話すことなんて何も無い

2年の辛抱 やっと 兄は高校を卒業し実家を出た

私が結婚したら式には来るのかな ああ嫌だ
どうしたって血が繋がっている
似ていく顔を見るのが たまらなく苦しい

なのに

私の口からは度々兄の話が出てくる

幼少期 私の大切な1人の兄であった記憶は
どう頑張ったって変えられない
今もまた こう思い出しては辛くなる

どうして私よりも幸せそうな顔で生きてるの


ノンフィクション

12/22/2024, 11:58:31 AM

ゆずの香りがする また貴女の声を思い出した

台所にふらっと
特に好きな訳ではないけれど ゆずサイダーを作ってみる

小さい頃のこの季節はよく一緒にゆず風呂に入ったよね。
私達 いつから変わっちゃったんだろうね
いつになったら元に戻ってきてくれるのかな

こんなに想っているのに 人間って不思議なもので
どんどん顔も忘れていく

顔も声も想いも
全て忘れてしまう前に お転婆な貴女を探すために
ゆずの香りが漂う浴槽
ここで、貴女と同じ様に 同じ楽園に

すぐ迎えに行くから
また一緒に 庭で採ったゆずを浮かべよう


フィクション

12/21/2024, 12:52:08 PM

中学一年生の春
運動に苦手意識があった私だが、
友達に誘われてソフトテニス部に入部した

雨の日も風が酷い時も、雪が降る日も練習だったけど
12人の仲間のおかげで毎日が楽しかった

後輩も入部してさらに応援が大きくなった

中学最後の総体
団体で県大会への切符を掴んだ
汗 雨 涙 それを上回る喜び

「まだみんなでテニスができる」

直径約6センチの軽いボールを大空に放ち
ラケットで勢いよく打つ
サービスエースの心地良さ 大きな歓声
中学3年間ソフトテニス部で見た景色

未だに夢に見るほど あれは私の青春そのもの


ノンフィクション

12/20/2024, 12:51:53 PM

7時35分
携帯の音
いつも通りの景色

カーテンを開ける母
「今日は学校行けそう?」 「 」「 ごめんなさい 」
いつも通りの会話
「 仕事行ってくるね。」

8時47分
着信音と心臓の鼓動が 八畳の部屋に鳴り響く。
生温い涙 酷い頭痛 ボロボロの左手首
理由は沢山あるはずなのに

「 欠席連絡は、しとかないとなぁ 」
携帯を手に取り

何かを諦めたように、全てがどうでも良くなった
手は空を切り鈍い音が鳴り響く。
壁に穴が空いてしまったけれど、怒られはしない
止めてくれる人など どこにも見当たらない


12月20日 金曜日 午前9時13分
苦しいのはこれで最後


フィクション

Next