6/29/2022, 6:47:49 AM
‐夏‐
耀く甍に西日が照つてる
ベランダの手すり寄りかかる
額の汗と前髮を指で拂ひ
ぢつと眺める田舎の街竝
レースの日傘老婦人
タオルで汗ふく學生達
道片隅の湧水栓
神社で搖れる幟旗
手元で冷珈琲の氷
カラリと啼いて
大人に成るまで
知らなかつた街
コンニチハ
ハジメマシテ
大人に成つて
知つた街
此の街に來て
初めての夏
6/27/2022, 9:54:52 PM
‐ここじゃないどこかへ‐
灼くべき土瀝青
搖るる陽炎
漆喰つたふ
濃緑蔓は風に靡かす
柑橘橙色の花片を
暑さに焙られ
朦朧しつつ
鷲づかみせし
南國花
危險纏ひ
地に墮ちていく
瞼を伏せて
此れ踏みにじり
名を呼ぶ君に
不敵なる笑み
振り返る午后
6/26/2022, 10:20:57 AM
‐君と最後にあった日‐
搖れるリネン
轉がるやうな
廻轉琴の音色と陽光
風が運ぶ潮風と
夏の匂ひ
隣で寄りかかる
君の睫で光が踊る
戀とか愛とか其処には無くて
僕と君の間には友情がある
6/25/2022, 5:52:59 PM
‐繊細な花‐
黎明に開く白い小花は
青い瞳でビジューの微笑み
白い翼に七叉の燭臺
全てのモノに平等を
謳ひ乍らの選民思考
己の主の正義の證明
何者も出來ぬ事とは
知らぬままに
夜更けに開く下がり花は
紅く濡れた山羊の瞳
黒い翼に雙子のアダガ
全てのモノに偏愛を
囁き乍ら偏愛思考
己の主の私利私欲
唆し乍ら火を放ち
破滅を眺め悦に滲る
眞晝に開く間拔けな花は
黒く無邪氣な小さな瞳
鐵の車輪を操り乍ら
我が物顏で手に入れる
喚き散らして我が儘に
己の世界を廻し續ける
左右の天使に囁かれては
ぐらぐら搖れて滅びを歩く
6/24/2022, 12:03:16 PM
‐一年後‐
…なんかどうでもいい。
生きこしばかり
傷は附く
寄せば返す
小魚の夢
地球の律動
脈打つた
水平線と陽の祈り
漂ひ彷徨ふ
水母は願ふ
砂に洗はる
玻璃硝子
彈けて消ゆ
虹浮球
暑さ落ち着く
暇はなし