「織姫と彦星が今年も会えますように」
ざあざあと雨音が響く七夕にそう願う女に目を向ける。窓を開けて、ちらとも星が見えない空に真剣に願っているらしい。
「何をわざわざ。放っておいても会っているとも」
「どうして?今年は天の川が見えないわ」
「そもそもだ、宇宙に雨は降らない」
雨が降るのは星より下である。天の川がこちらから見えようが見えまいが、雲より上の星々には関係ないはずだ。
「…あなたって浪漫がない人ね」
それなのに、どこか拗ねたような声を出されてむっとする。何も間違ったことは言っていないのに何故批難されなければならないのか。
反論しようと口を開いた、その瞬間。
「でも、優しい人だわ」
くすくす笑って付け足された言葉にどんな顔をしていいやらわからなくなって、ぐうと喉を鳴らした。
"月に願いを"
「雨が止むか親の仕事が終わるかを待ってんの」
教室でひとり残っていた彼が窓の外を指差してそう言ったので、咄嗟に「私も」と声をあげた。本当は傘が下駄箱で待っている。なんなら、折り畳み傘だって鞄のなかに入っていた。
「そっか。じゃあ、良かったら一緒に待つ?」
けれど、それは秘密にして。笑った彼に「うん!」と勢い良く頷いた。
"降り止まない雨"
"あの頃の私へ"
セブンのバナナミルクスムージーは数量限定だったらしいので、またでいいかと思わずに飲みたいだけ飲んでください。
PS.もうすぐスタバでバナナブリュレフラペチーノが始まります。
未来の私より
「ねえ、あの人ずっとこっち見てない?」
「あ、深淵くん?」
「え?ああ、知り合い?」
「いや、話したことはないんだけど。いつ見ても一定の距離でこっち見てるの」
「行こう、警察!」
「あ、待って待って!いいのいいの深淵くんは!」
「良いわけなくない!?」
「深淵くんが私を見ている時、私もまた深淵くんを見てるから」
「マジで全然わからんけどせめて一度きちんと話し合って!!!」
"逃れられない"
「ばか!アンタなんかもう知らない!勝手にすればいいじゃない!もう私に話掛けるんじゃないわよ!さよなら!」
「そっか…嫌な思いさせてごめん。また明日な」
「また明日ね!!」
喧嘩を持ち越さないことで有名なカップルである。
"また明日"