「世界に色がついた瞬間ってある?」
「ええ?あー、まあ…そんな大層なのはないけど、いつも通りの景色がぱっと明るくなったような気がした瞬間ならある」
「へえ!ちなみにいつなのかお聞きしても?」
うきうきと身を乗り出せば、彼はするりとポケットからスマホを取り出した。写真なのだろうかと待っていると、存外すぐに画面が差し出されて覗き込む。
すると、そこにはよろしく!とキャラクターが頭を下げる見覚えがあるスタンプがあった。というか、見覚えがあるもなにも私と彼のトーク画面である。はて、と首を傾げれば見ていた彼がおかしそうに笑った。
「お前が初めてLINEくれた時」
"無色の世界"
7月24日、桜が咲いて散ったその後の真実へ会いに行く
"桜散る"
久しぶりに予定がない明日の休日を、大変楽しみにしていた。朝は洗濯や布団を干したり掃除をしたりと、いつも手早く済ませることやおざなりにしていたことを丁寧に細かくやって、その後欲しかったものをリストアップして買い出しに行く。ついでに気になっていたあのお店でランチをして、帰りにお気に入りのお店でお菓子を買う予定だ。そうだ、読もう読もうと思って買ったはいいけれどまだ手を付けてない本があった。お菓子を食べながら本を読んで、それでも時間はあるだろうから夕飯は少し豪勢に色々作ろう。お風呂も早めに用意をして長く楽しんで、そしてお風呂上がりにはお酒を……。
と、昨日まで考えていたけれど、起きたら17時過ぎだった。まあ、大体そんなもんである。
"夢見る心"
「最新話で推しカプの片方が別のキャラとフラグ立った」
「あらまあ…」
「いや、でもまだ明確にくっついたわけじゃないし諦める段階ではないと思うんだよね。公式と私の推しカプが違ったってだけだし。描写があるまでは私も破綻してないわけだし…うん、シュレディンガーの気持ちで変わらず推していく!」
後日、そう力強く笑った彼女から最終話の後日談で破綻したと連絡があった。
"届かぬ想い"
「え、めっちゃ顔色悪くない?大丈夫?」
「…今…全身全霊で神に祈ってるところ…」
「気持ちはわかるけど素直にトイレか保健室の方が確実に解決できるよ、多分…」
"神様へ"