久しぶりに予定がない明日の休日を、大変楽しみにしていた。朝は洗濯や布団を干したり掃除をしたりと、いつも手早く済ませることやおざなりにしていたことを丁寧に細かくやって、その後欲しかったものをリストアップして買い出しに行く。ついでに気になっていたあのお店でランチをして、帰りにお気に入りのお店でお菓子を買う予定だ。そうだ、読もう読もうと思って買ったはいいけれどまだ手を付けてない本があった。お菓子を食べながら本を読んで、それでも時間はあるだろうから夕飯は少し豪勢に色々作ろう。お風呂も早めに用意をして長く楽しんで、そしてお風呂上がりにはお酒を……。
と、昨日まで考えていたけれど、起きたら17時過ぎだった。まあ、大体そんなもんである。
"夢見る心"
「最新話で推しカプの片方が別のキャラとフラグ立った」
「あらまあ…」
「いや、でもまだ明確にくっついたわけじゃないし諦める段階ではないと思うんだよね。公式と私の推しカプが違ったってだけだし。描写があるまでは私も破綻してないわけだし…うん、シュレディンガーの気持ちで変わらず推していく!」
後日、そう力強く笑った彼女から最終話の後日談で破綻したと連絡があった。
"届かぬ想い"
「え、めっちゃ顔色悪くない?大丈夫?」
「…今…全身全霊で神に祈ってるところ…」
「気持ちはわかるけど素直にトイレか保健室の方が確実に解決できるよ、多分…」
"神様へ"
「ね、今日の空飛べそう!」
真夏の暑い教室で、前の席の彼女がそう楽しそうに笑ってこちらを振り返る。卒業までずっとクラス替えも席替えもなければいいと思った。
"快晴"
テスト用紙の紙飛行機がすいっと飛んで私の机に着陸した。辺りを見渡すと2つ隣の席からひらひら手を振られているのに気付く。離陸時間は3秒くらいだろうか。飛ばし返す自信はなく、仕方なく立ち上がって紙飛行機を返しに向かう。
「こういうのって点がものすごく良いか悪いかの人がやるんじゃない?」
「なんだよ、平均点の奴は青春しちゃいけないのか」
「これ青春の一環としてやってんの?」
「まあ何にしても平均点の紙飛行機は飛ばなさそうだし」と58点と書かれた生物のテスト用紙を返しながら言えば、どこかむっとしたような顔をされた。
翌日64点の歴史の紙飛行機が私の席を越えて飛んでいった。ものすごいどや顔をされたけれど、折り方が明らかに変わっていた。
"遠くの空へ"