今日にさよなら
今日にさよならと言おう
優しく「戻っておいで」と囁く今日に
別れを告げよう
暖かい陽だまり
ふわりと飛び立つ小鳥
儚いココアとマグカップ
さよならと言おう
アイツにもさよならと言おう
さよならにまたねを付けたそう
今日にさよなら
アイツにまたね
明日におはよう
お気に入り
この距離感がお気に入り
時々肩が触れる
声が重なるこの距離感
この関係がお気に入り
何でも言えて、喧嘩もするけど
すぐ仲直り この関係
このノートがお気に入り
誕生日にアイツがくれた
お絵描きかきかき夢も描き
その笑顔がお気に入り
庭のすみの花みたい
花びらひらりと舞っている
お気に入りのこの世界
ガラスに閉じ込めているよりも
自由な小鳥でいてください
クリスマスの過ごし方
クリスマスにはケーキを食べる
別に楽しくも何も無い
誰も話さず、テレビだけを見て
疲れる
空気を読んで、ただそれだけ
アイツに会いたい
他愛無い話をしたい
不思議な体験をしたい
プレゼントなんか
いらない
ベルの音
ベルの音がした
枕元には、見覚えのある白髭のおじいさん
–––君が頼んだプレゼントはあげられないよ。
やっぱりそうか
–––アイツが欲しい。少しの間、一緒にいたい
なんて無理か
代わりに、とおじいさんは言った。
–––君が頼んだ子が、これを君にあげてとね
手編みの手袋
所々毛糸がほつれてるし
大きさも合わないし
でも
アイツの香りがした
いつの間にかおじいさんはいなくなっていた
ベルの音
寂しさ
ボクは、淋しいという漢字の方が好みだ。
小さい頃––2年生頃––に、母親に聞いた覚えがある。
–––どうして「淋しい」って書くの?
と
母は、
–––林が泣いてるからだよ。
と、何だか強張った表情で言った。
娘がそんな事を言って嫌だったのか
父に愛されなくなり、淋しくなったのか
林が泣いてる。
詩みたい、と当時のボクは思った。
母にその話は二度としなかった。
アイツがふと「淋しい」って言った。
何でと聞いたら
さあな
と、珍しく大人びた顔をして言った。
しばらくしてアイツの両親が離婚した。
弟ともバラバラになるそうだ。
それからアイツと話をできていない。