またねと言う君はどんな想いだっただろうか。
先日君に告白されてしまった。
正直辛かった。そして申し訳なかった。
切り替えするために放ってくれた言葉はごめん。君の方が辛いだろうにさっきのケーキのように甘い言葉とは真反対の拒絶する言葉を僕に放った。
こっちこそ謝りたかった。君を惚れさせてごめん。自分勝手でごめん。相手のことを思って断ったんだ。もっといい人はいるって気づいて欲しくて。でも相手は僕がいいと思ったから勇気を出して、僕以上の人は見つけられないから僕がよかったから告白をしてくれたんだ。
そんなことわかってるけどやっぱり僕にはできない。
僕も僕自身のことがわからないそんな僕が君と釣り合うわけがない。
君は逃げるように言った。“またね”
さよならは少し悲しいから?
学校では会うから?
それとも罰ゲームだったの?
君の一つの言葉でこんなにも苦しくなる。
僕は君が好きで大嫌いだ。
恋が叶わなければそのまま“泡”になってしまう。
と聞かされるたび、恋とは無縁だと思ったし泡なんてなりたくない。と夢もないことを呟く毎日だった。
ある日私は恋を知った、その人を好きになってしまったことより自分が自分でなくなる感覚に恐怖と気持ち悪さが勝ってしまった。
いつしか恋が叶ってほしいと言う願いが強くなり泡になってしまうこともすっかり忘れてしまった。
もちろん恋なんか叶うわけがない。別々の生物なのだから。
だけど一度だけでいいから触れたい聞きたい想いを口にして泡になりたい。
恋は危険だ、薬物よりも何よりも。依存してまるで赤の他人のように自分自身を変えてしまう。
僕はぬるい炭酸と無口な君が大嫌いだ。
ぬるい炭酸はせっかくの炭酸が台無しになるし、無口な君は僕が話しかけてあげたのに頷いたりするだけで僕の優しさが台無しになる。
でも炭酸は好きだ、体の中が喜ぶ美味しさ。
よく喋る君が大好きだった。暗い僕に優しく話しかけてくれた。
静かに目を閉じ、頭がおかしくなるような静かな部屋で横になる幼馴染。
変わってしまったのはどちらなのか、わからないほど2人とも変わっていた。
死んでいるのすらわからないほど美しい顔。
せっかく幼馴染の母親が持ってきてくれた、君と僕の大好きな炭酸は僕の大嫌いなぬるい炭酸に変わって氷が溶けて僕の記憶のように薄まっていた。
僕には憧れの人がいた。
その人はすごくカッコよくて何より僕が大好きなバレーボールがすごく上手だった。
僕は10歳の時に友達の勧めで入った、その時にすごく優しくしてくれた人。同い年と知った時はすごく驚いた。
どうしても追いつきたくて、肩を並べたくて家でもどこでもボールを触った。周りに越されることと周りを抜かすことの繰り返しが僕に優越感と気持ち悪さを教えてくれた。
でもいくら頑張ってもなにを磨きどう対処しようともその子には届かなかった。
自分は褒められるがあいつは期待をされる。自分の欲しかったものを全て持っている。嫌いになりたいけど嫌いになれない自分が心底嫌いで考えているたびに息苦しくなる。
憧れは眩しくてこんなにも近くにいる存在なのにこんなにも遠いのだと幼いながら感じさせられた。
そんなんだから腕は上達するがチームには置いてかれた。
昔の自分に対しての褒め言葉が今の自分に突き刺さったまま高校になった。
自分は一切期待をされなかった事実と適当に並べられた単語、耳が腐るほど聞きなれた褒め言葉。
チームも実力も自分の心にはついてきているのに自分にはついてこなかった。
憧れてしまえば越すことはできない。
越すことができても魅力のあるものに憧れないことができない。
タイミングが合えば言える。タイミングを見計らい、うるさい鼓動を抑え君に集中する。
「結婚しよう」
「別れよう」
ほぼ同時、なんなら少し君のほうが早い。
やっと言えたと思った安心感とこれからの幸せを目の前の最愛の人が叩き潰した。
僕は頭がいいからそれがなにを意味していたかなんてわからないはずがなかった。
今だけバカになりたい。君になりたい。