望むほど遠く
願えども叶わず
花咲く顔に曇り空
永遠に輝く罠と知らずに
縋る藁が千切れては
救いの舟すら泥舟と
異国の花は枯れて散る
永遠の煌めきに金糸雀が鳴く
お題【魔法】
タイトル【鸚鵡の語り手】
喘ぎ掠れて 死が巡る
龍は赫きを知った
始まりは終焉を知らない
太陽はいずれ沈むと
穢れに喰われた両の掌
私の瞳に喘ぎ死ぬ
死がまた攫うまで
死が優しく抱くまで
貴方の元でまた笑うまで
嗚呼、聖母 慈しみ深き其方なら
暖かき陽ノ下へ 彼を導き給へ
この身を捧ぐことになろうとも
永劫彼と逢えずとも
背の温もりを あの横顔を
私はもう知っているから
お題【そっと伝えたい】
タイトル【さらば】
蒼が降る 私に注ぐ
目眩くほどの太陽
私の瞳を摑んで
あの地平線の彼方へ
日出づる空へと
聲が聞こえる 心臓が熱れる
あの燦めきが あの聲が
私を決って脳天を穿つ
俤を謳って 涕涙を拭って
私を連れてゆけ
遠き昔の約束のため
地獄でさえも喜んで
回し灯籠 私を綴る
骸喰む最後の絵
お題【誰も知らない秘密】
タイトル【腐草為蛍の梦】
風が空を泳ぐから
水面に波が揺れるから
雲が熱さを忘れるから
泣いては雨で隠すのだ
あの日を抱いて眠るから
目に焼き付いて離れない
星の流るるあの夜を
私が生まれたあの夜を
貴方は私の希望
貴方は私達の太陽
貴方は泥中で咲いた大義
貴方は私の英雄
途轍もなく赫いている英雄
君は私のともだち
私は君を紡いで逝く
幾星霜 廻り紡いで柔く抱えて
星は廻る 君が東で手を振っている
お題【隠された手紙】
タイトル【遺言】
真っ赤なクローシェ帽のあの娘
真っ赤なピンヒールを履いた娘
皆の目玉を攫い行く
下卑た鼠の行進が
目指すはあの娘のお膝元
甘い林檎を香らせて
欲に塗れた罪の味
欲に塗れた愛の味
胎に還ってはまた孵る
垂れた欲さえ掬い取る
購い交尾んで決って拉ぐ
腐ったこれはいつかの娘
固いリボンが解けて堕ちた
お題【バイバイ】
タイトル【十三番目の色欲】