蝙蝠

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6/19/2025, 10:46:59 AM

潰れた喉が汚く喘ぎ
ただの大きな肉塊は
雲一つ無い晴天に伏す
一寸先までまだ地獄
呱々の声は何を八つ裂く

誰も知らずとも
雨は身を知る
耳元で憑く 先は淪落
やがては身罷る
此処は境
           お題【雨の香り、涙の跡】
               タイトル【繊翳】

6/14/2025, 2:14:55 PM

やけに美しい空でした
ただただ無音で恐ろしく
私を摑んで撫ぜていた
あなたの中身は真っ黒で
美しい空に反射して
私の心も穢れていった

あの娘の指が背中を掠る
あの男の声が覆い被さって
その隙間を這い蹲って逃げ出した
あの人の眼が堪え難くて
あの子の言葉が離れなくて
逃げるように踏み出した
底なしの沼に転がり堕ちた

やけに美しい空でした
私の眼には薄汚い蝿が映っていた
幼子のように容赦なく殺した
私も死んでいた
              お題【もしも君が】
              タイトル【最果て】

3/26/2025, 2:14:23 PM

箱の中で夢をみる
壁の外の青空
吹き込む風
壁の外の夜空
散らばる星
箱の中で夢をみる
電球の光を浴びる
夜も来ない 朝も来ない
何も変わらない箱の中
時間のわからない時計
ドアノブの無い扉
存在に押し潰される私
買って満足した本
未開封の友人からの手紙
知らない親戚のお下がりの服
何百回も繰り返し読んだ御伽噺
涙と叫びと汗と愚痴と
二度と思い出したくない思い出と
楽しかった思い出が改悪された悪夢と
未来の妄想と語った夢が染み込んだ枕
動かなくなった私
箱の中で夢をみていた
輝いていたはずの夢
塵みたいなくだらない夢
                 お題【七色】
                タイトル【卵】

2/24/2025, 10:09:38 AM

望むほど遠く
願えども叶わず
花咲く顔に曇り空
永遠に輝く罠と知らずに

縋る藁が千切れては
救いの舟すら泥舟と
異国の花は枯れて散る
永遠の煌めきに金糸雀が鳴く
                 お題【魔法】
           タイトル【鸚鵡の語り手】

2/13/2025, 2:34:55 PM

喘ぎ掠れて 死が巡る
龍は赫きを知った
始まりは終焉を知らない
太陽はいずれ沈むと

穢れに喰われた両の掌
私の瞳に喘ぎ死ぬ
死がまた攫うまで
死が優しく抱くまで
貴方の元でまた笑うまで

嗚呼、聖母 慈しみ深き其方なら
暖かき陽ノ下へ 彼を導き給へ
この身を捧ぐことになろうとも
永劫彼と逢えずとも
背の温もりを あの横顔を
私はもう知っているから
            お題【そっと伝えたい】
              タイトル【さらば】

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