蒼が降る 私に注ぐ
目眩くほどの太陽
私の瞳を摑んで
あの地平線の彼方へ
日出づる空へと
聲が聞こえる 心臓が熱れる
あの燦めきが あの聲が
私を決って脳天を穿つ
俤を謳って 涕涙を拭って
私を連れてゆけ
遠き昔の約束のため
地獄でさえも喜んで
回し灯籠 私を綴る
骸喰む最後の絵
お題【誰も知らない秘密】
タイトル【腐草為蛍の梦】
風が空を泳ぐから
水面に波が揺れるから
雲が熱さを忘れるから
泣いては雨で隠すのだ
あの日を抱いて眠るから
目に焼き付いて離れない
星の流るるあの夜を
私が生まれたあの夜を
貴方は私の希望
貴方は私達の太陽
貴方は泥中で咲いた大義
貴方は私の英雄
途轍もなく赫いている英雄
君は私のともだち
私は君を紡いで逝く
幾星霜 廻り紡いで柔く抱えて
星は廻る 君が東で手を振っている
お題【隠された手紙】
タイトル【遺言】
真っ赤なクローシェ帽のあの娘
真っ赤なピンヒールを履いた娘
皆の目玉を攫い行く
下卑た鼠の行進が
目指すはあの娘のお膝元
甘い林檎を香らせて
欲に塗れた罪の味
欲に塗れた愛の味
胎に還ってはまた孵る
垂れた欲さえ掬い取る
購い交尾んで決って拉ぐ
腐ったこれはいつかの娘
固いリボンが解けて堕ちた
お題【バイバイ】
タイトル【十三番目の色欲】
忘れてもきっと
全て失ったとしても
必ずやあなたのもとへ
必ずや貴方が呼ぶ所に
私の全てを捧げても
貴方の下に帰るのみ
いつか貴方と還る夢
温もりさえも泡沫の夢
手を伸ばすだけ
また出逢っては亡いただけ
亡いた言葉に泣いただけ
帰る夢すら叶わぬままよ
お題【あなたのもとへ】
タイトル【遁走曲】
平等を謳う者
正義を振りかざす者
等しく欲を満たすだけの者
不幸を見せびらかす者
幸福を主張する者
等しく哀れな者
骸の山の頂で
鍵の掛かった箱庭で
偽幸を纏って笑い合う
さぞ楽しかろ さぞ苦しかろ
幼き夢が恋しかろ
青い鳥は姿を消して
何処の地でもう朽ち果てた
かつての景色が恋しかろ
幸を気にせず過ごした頃が恋しかろ
お題【幸せとは】
タイトル【或いは】