きつね

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7/14/2025, 12:35:34 AM

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今この瞬間でさえ、胸の高鳴りが収まらないというのに
日を追うごとに、さらに気持ちが大きくなって困る。
のの字を書いて始終俯いていた僕には大層勿体無いが、
朝起きたらあなたが隣にいればいいのに、なんて
食べかけの朝餉をひとりつつきながら思うのだ。
はやくあなたに伝えてしまいたい。
おはようと声をかけたら、
にこりと笑っておはようと返してくれるだろうか。
ぎゅっと抱きしめてもよいだろうか。
りんとした佇まいもまた魅力的で美しく、
でかければ誰もがあなたに目を奪われるほど
すてきで可憐な、あなたが好きだ。

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ああ、こっそり妻自慢をしてしまったな。
わたしの愛しい妻の作るおにぎりは、絶品なんだ。

……どこにもそんなこと書いていなかった?
ふふ。文章は縦にも読めるのだよ。
隠された真実は見えたかい?

7/7/2025, 2:41:38 PM

どうかあの人が、平穏無事に過ごせますように。
どうかみんなが、幸せに暮らせますように。
そんな優しいお願い事をした、あなたこそ。
どうか幸せでありますように。

6/18/2025, 2:33:10 PM

プライドという糸を手放せずに、今の今まで後生大事に握ってきた。
それだけが唯一の救いなのだと信じて、ばかみたいにしがみついて。
そいつが何の得になったというのか。周りの声も手助けも全て無視をして、自分の力だけでここまでやってきたのだと勘違いをして、わたしは上ばかりをみていた。

すぐ隣に救いの階段があったというのに。
手放せなかった糸に足を取られ、ああその様はまさにわたしのことだろう。
おかげで真下がよく見渡せた。糸など捨てた周りの人間が、底から階段を駆け上がってきた。

息を切らせたそいつと、目が合った。
そうしたらそいつはどうしてか、わたしに向かって手を差し伸べた。真剣な顔つきで、階段から落ちかけるほどに体を乗り出して、わたしなどのために。
こんなどうしようもない、呪縛の繭になりかけたわたしのために。
どうして。

ああ、そうか。
あなたはそれを、力に変えたのか。
呪縛ではなく、自らの力として絡め結んだのか。

「ありがとう。すまないが、助けてほしい」
「勿論だとも。さあ、掴まって!」

繭の中から、糸屑まみれの手を伸ばした。
掴んだそいつの手首に結ばれた、
わたしと同じ『糸』が見えた。

6/15/2025, 3:18:32 PM

まんまるフォルム、フチが緑のマグカップ。
陶器なのでちょっと重いけれど、安定感もあり大容量。
IKEAで出会い一目惚れをして、持ち手の部分にぽつんと点がついた、ほくろのある子を選びました。
ひとやすみのとき、本を読むとき。それから仕事で頑張るとき。たっぷりと熱い紅茶を淹れて、かたわらに置く。
そこにあるだけで元気が出るのです。
買ってよかったなあ。

5/6/2025, 5:01:26 PM

よく晴れた日の、穏やかな午後。
あなたの膝枕に甘えて、心地よい惰眠を貪っている。
わたしは知っていた。わたしがこうしてあなたの膝で眠ると、あなたは決まって上機嫌で鼻歌を歌うことを。
それがどんな曲なのかはさっぱりわからないし、歌詞だってもちろん知らなかった。けれど、それを歌うあなたの声はいつだって愛らしくて、優しくて、あたたかい。
すこうしだけ目を開けてあなたを見上げれば、あなたはそっとこちらを見て、細い指先でわたしの髪を撫で、やわらかく微笑んだ。
何度も聞いているすてきなメロディを、あなたといっしょに口ずさむ。どんな歌であっても、わたしにとってこの鼻歌は、間違いなくあいのうた、なのだ。

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