7/2/2024, 12:23:05 PM
べたべたと身体にまとわりつく汗の不快な感覚で目が覚める。眠っている間に肩で押し潰していたスマホを寝ぼけ眼で手に取る。私の体温なのか動画を再生しっぱなしによるオーバーヒートなのか、スマホは熱々状態だった。季節は夏、昨日から7月に入った。夜は肌寒くてタオルケットを肩まで掛けていたはずなのに、朝になると足元にまで蹴飛ばされている。つくづくこの季節は好きになれない。じわじわと焼かれるような暑さが近づいているのを意識するたびひたすら憂鬱な気分になってしまう。手の中で夏真っ盛りとばかりに熱を発するスマホでいつものようにSNSを開き、スクロールする。大して面白いわけではないけれど、なぜか無意識に開いているのは我ながら現代っ子を謳歌していて恐ろしい。暑さでだるい身体をやっとの思いで起こし枕元のカーテンを両手で開くと、もう日差しがカンカンと照りつけていた。外に出たら冗談ではなくとけそうだと無意識に眉間に皺が寄せつつ、冷房のリモコンに手を伸ばした。今日も一日が始まる。
11/28/2023, 10:28:34 AM
「何事にも終わりはあるものだよ」
困ったように目を細めて笑う君の心の奥を、あの時の私はまだ知らなかった。交換ノートの最後のページをめくれば、見慣れた君の筆の跡。たわいもない日常のあれこれ、私へのお小言がつらつらと並べられていた。軽やかに綴られた君の言葉は最後の一行にたどり着く前に終わりを告げた。
君はいない。涙を流す暇さえ与えられないまま、君は私の前から消えてしまった。互いの心を繋ぐ1つのノートだけを残して。終わらなければ良かったのだろうか。終わらせないでと、あの頃の私はそう言えなかった。