「何事にも終わりはあるものだよ」
困ったように目を細めて笑う君の心の奥を、あの時の私はまだ知らなかった。交換ノートの最後のページをめくれば、見慣れた君の筆の跡。たわいもない日常のあれこれ、私へのお小言がつらつらと並べられていた。軽やかに綴られた君の言葉は最後の一行にたどり着く前に終わりを告げた。
君はいない。涙を流す暇さえ与えられないまま、君は私の前から消えてしまった。互いの心を繋ぐ1つのノートだけを残して。終わらなければ良かったのだろうか。終わらせないでと、あの頃の私はそう言えなかった。
11/28/2023, 10:28:34 AM