NoName

Open App

べたべたと身体にまとわりつく汗の不快な感覚で目が覚める。眠っている間に肩で押し潰していたスマホを寝ぼけ眼で手に取る。私の体温なのか動画を再生しっぱなしによるオーバーヒートなのか、スマホは熱々状態だった。季節は夏、昨日から7月に入った。夜は肌寒くてタオルケットを肩まで掛けていたはずなのに、朝になると足元にまで蹴飛ばされている。つくづくこの季節は好きになれない。じわじわと焼かれるような暑さが近づいているのを意識するたびひたすら憂鬱な気分になってしまう。手の中で夏真っ盛りとばかりに熱を発するスマホでいつものようにSNSを開き、スクロールする。大して面白いわけではないけれど、なぜか無意識に開いているのは我ながら現代っ子を謳歌していて恐ろしい。暑さでだるい身体をやっとの思いで起こし枕元のカーテンを両手で開くと、もう日差しがカンカンと照りつけていた。外に出たら冗談ではなくとけそうだと無意識に眉間に皺が寄せつつ、冷房のリモコンに手を伸ばした。今日も一日が始まる。

7/2/2024, 12:23:05 PM