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5/26/2023, 1:57:46 PM

月に願いを


月に一度やってくるその日をいつも待ちわびていた。
闇夜に浮かぶ月が満ちるとき、押さえつけられていた本能が顔を出す。歯は鋭く牙のように、爪は簡単にその柔肌を切り裂くように、全身を覆うその毛が、狼のものだと気づいてからもう何十年も経っていた。
幼い頃に、その姿で暴走しかけてからはこの姿になること自体がトラウマだった。
だから、この日が来る度に祈るのだ。今度こそ人間のままで、と。月に願いを届けるように、目を閉じて、指を組み、祈るのだ。

5/25/2023, 12:58:59 PM

いつまでも降り止まない、雨


明けない夜はない、とか、止まない雨はない、とかよく言うけれど。別に夜は明けなくてもいいし、雨も止んだりしなくたっていいんだよ。
だって、昼間よりも、晴れているときよりも、何十倍も優しくて、静かで、儚くて、こんな心に寄り添ってくれるんだから。
だから、もう少しだけこのままで。止まない雨と明けない夜が一筋の光となるから。

5/24/2023, 12:30:16 PM

あの頃の不安だった私へ


私は、どんな言葉をかけてあげればいい?
大丈夫だよ、なんて中途半端な言葉は口がさけても言いたくなかった。だって、今でもこんなにも辛くて、不安で押しつぶされそうなときだってあるから。
それでも、諦めたり、投げ出したりはできなかった。だって、あなたが頑張ってきたことをよく知っているから。誰よりもそれを知っていて、その上で今の私がいるのだから。そんな無責任なことはしたくなかったんだよ。
たとえどんなに辛い今日が来ても、その今日を生きるという選択肢を迷わず取るだろう。だって、あなたが頑張ってきたことを無駄にはしたくないから。
あなたが望んだ未来とは少し違うけれど、それでも生きているから。生きていけるから。
だから、その不安に負けないで。あなたの未来はちゃんとここにある。

5/23/2023, 1:11:49 PM

逃れられない呪縛


絡め取られて、縛り付けられて、締め付けられて。
苦しくて、辛くて、逃げたいはずなのに、足が震えて動かないんだ。
そっと抱きしめるように、その手は優しいはずなのに、まるで首を絞められているように息が止まるんだ。
血の繋がり、それはたとえどんな相手であったとしても、消えることはないもの。
それは、ときに逃れられない呪縛となる。

5/22/2023, 1:41:16 PM

昨日へのさよなら、明日との出会い


おやすみ、そう昨日にさようならを告げる。
おはよう、と明日がやってきてその出会いを祝福した。
これは、昨日という明日と、明日という昨日に挟まれた、今日のお話。

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