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11/22/2022, 2:13:26 PM

夫婦


「あなたは病める時も健やかなる時も、悲しみの時も喜びの時も、貧しい時も富める時も、これを愛し、これを助け、これを慰め、これを敬い、その命のある限り心を尽くすことを誓いますか?」
「はい、誓います」
その言葉を嘘にはしたくなかった。
どんなときでも、どんなことがあっても、二人で乗り越えて、ただ互いを愛し続けていられたらそれでよかったんだ。
だから、生まれ変わっても僕と結婚してくれませんか。


11/21/2022, 1:38:28 PM

どうすればいいの?


「どうすればいいの?」
君は途方にくれた表情でそう言った。
答えなんて、本当はわかっているくせに。それに自信がないからか、君は困った顔をし続ける。
でもさ、そんな君にアドバイスをしたところでそれは何か違う、と言われるから、やっぱり君はもう答えを出しているんだ。
その答えをなんて表現したらいいかわからなくて、適当な言葉が見つからないから、まだ答えが出ない振りをしているんだ。
わかっているのだから、はやく認めてしまえばいいのに。
きっとその答えに正しいも、間違ってるもないんだから。
君だけの答えを、君の言葉で教えてよ。

11/20/2022, 1:06:37 PM

宝物


きっとその人にとってはキラキラと輝いて見えて、仕舞っておきたい、守っておきたいなんて思う価値のあるものなのだろう。
今まで宝物なんて、よくわからなかった。貴重で価値の高いものは持っていておそれ多くなるし、好きなものは宝物かと言われたら特別感がなくて何かが違った。
それでも今日ようやくわかった気がする。あなたの声を聞いた瞬間、あなたの姿を見た瞬間、頭じゃなくて心で理解した。
誰がなんと言おうとこの子は私の宝物だ。腕に抱いて、その重さを噛みしめて。人は嬉しいときにこんなにも涙が出るものなんだと初めて知った。
生まれてきてくれて、ありがとう。私のもとに来てくれて、ありがとう。

あなたが生まれた日、私はそう思いました。大事に仕舞って、守って、あなたが大きくなるのをずっと近くで見てきました。
だから、いつかこの日が来ると思っていました。私の宝物は今日私の手から離れていきます。
それでも、私にとっては今でも、これからも大切で、幸せであってほしいと願っています。
改めて、結婚おめでとう、私の可愛い大切な子。

11/19/2022, 12:18:17 PM

キャンドル


たとえば、キャンプファイヤー。火が大きくて、近づきたいと思わないくらいには火が熱いものだって思い出させてくれる。それでもどこか懐かしくて、色んな人と囲みたくなる。
たとえば、暖炉。北欧の家に置いてありそうな、煙突からサンタさんがやってきそうな大きめの暖炉。なんだかおしゃれでロッキングチェアに揺られながら、編み物でもしたくなる。
たとえば、青い炎。コンロやガスバーナーで見られる少し幻想的な火。温度が高いから触っちゃダメだとは知っているけれど、少しだけ手を伸ばしたくなる。
たとえば、キャンドル。きっとキャンプファイヤーよりも火は小さくて、暖炉よりも手軽で、コンロのように青い炎は見れないけれど、どの火よりも優しく感じる。そばで寄り添ってくれるみたいに、その小さな火が辺りを照らす。
きっと外ではすぐ消えてしまうかもしれないけれど、そんな儚い存在なのかもしれないけれど、優しいそのゆらめきが心を穏やかにしてくれる。きっとそういうもの。

11/18/2022, 1:54:15 PM

たくさんの想い出


記憶が薄れる前に想い出を詰め込んで、蓋をした。
カチャ、と音が鳴って、記憶を封じ込める。
もう大丈夫。もうどれだけ泣いても、どれだけ忘れても、想い出はここにあるから。
さようなら、愛しい人たち。愛しい日々たち。

カチ、と時計の針が12時をまわる。
あれ、私こんなところで何してるんだっけ。
視線を落とした先には見知らぬ箱があった。

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