Mey

Open App
12/31/2024, 3:19:38 AM

2024年、家庭内で色々あったけれど、旦那に助けられたことが多かった。義母の介護、長男の受験対策。いつも率先して行動してくれて、すごく助かった。私は、その波に乗って動いているだけ。成長してない…
来年はもう少し思慮深く考えて、自分を成長させる年にしてみようか。
書く習慣アプリ、初めて正解。想いをカタチにすること、妄想をカタチにすること。感性の素晴らしい作家さんに出会えたこと。とても楽しかったです。もっと読みたい、押してもらえてとても嬉しかったです。励みになりました。ありがとうございました。

良いお年をお迎えください。



1年間を振り返る

12/29/2024, 12:38:42 PM

実家はみかんの一大産地で、私が小さな頃、自宅で内職をしていた母親は、毎年、冬の早朝に「みかんきり」に行っていた。急斜面に植えてある数多のみかんの木からみかんを収穫するバイトである。お土産は「くずみかん」。主に規格外の大きさのみかんのことを「くずみかん」と呼び、毎日、スーパーの袋いっぱいに詰められた物を持ち帰って来た。
我が家はたくさんのみかんを勝手口のダンボールの中に入れていた。勝手口は外気温と同じく寒い。風が吹かないだけマシという寒さで、貯蔵するにはちょうど良かった。毎日持ち帰って来るから消費が追いつかない。ご近所さんに配りたくても、どの家庭でも同じような状況で、くずみかんは無限に増殖するばかり。

冬休み中、勝手口がみかんの香りで充満する、私はそれが好きだった。
そして、みかんは勝手口ばかりではなかった。台所にも居間にも仏壇にもあった。みかんが余りに増殖すると、母親は自分の車にもみかんを持ち込んだ。みかんが車内のおやつだったのは、今考えると笑ってしまう。

そう言えば、みかんを揉むと甘くなると気づいて、みかんを揉み出したのはいつの頃か。小さな頃から酸っぱいのは苦手だったから、もしかしたら小さな頃から揉んでいた?


実家から送られてきたみかんのダンボールを開封する。みかんの香りが、あの寒すぎる勝手口を思い起こさせる。
「箱の下の方にあるみかんから食べてよ。みかんの重みで下の方が傷みやすいから」
みかんの香りに釣られてやってきた子どもたちに急いで伝える。
カビる前に食べ切らなきゃ、と妙な使命感に駆られるのは、母親譲りなのか。

揉んで甘くして、皮を剥く。白いスジを可能な限り全滅させるのは子どもの頃から。
一房ひとふさ口に入れるのも子どもの頃から。
小ちゃい房のみかんを「あかちゃんみかん」と誰かに伝えたくなるのも子どもの頃から。

私は、我が子が小さな頃、みかんがカタツムリに見えるように皮を剥いていた。皮の端っこにペンで目と口を控えめに描くと本当に可愛くて、私のお気に入りの剥き方だった。
大きくなった子どもたちに「またお母さんがカタツムリを作ってる」と毎年言われている。
ああ、今日は作り忘れたから、明日カタツムリを作ろう。とびきり可愛いにっこり笑顔のカタツムリを。

我が家の冬休みの風物詩になると良いな。
私はみかんを一房づつ口に放り込みながら、香りと甘さに「美味しいね」と子どもに笑いかけた。



みかん&冬休み

12/27/2024, 1:52:47 PM

手ぶくろ #1


爪の先から肘まで2回、念入りに手洗いをする。
滅菌タオルで滅菌水を拭き上げて、滅菌手袋を二重に装着。

いざ、手術室へ。

大好きなあなたのために。









2025/01/02

宮島看護師×佐々木小児科医 を思いついたので、#2として追加


手ぶくろ #2


自宅マンションの宅配ボックスを開けると、A3サイズの郵便物があった。
差出人は佐々木貴弘と記されていて、その字面を見ただけで私の胸は高鳴る。箱を大切に胸に抱えて部屋へ持ち込んだ。
今すぐ開封したいのをグッと堪えて、コートを脱いで手洗いやうがいをする。看護師という職業と冬という季節柄、感染予防は必須。と言いつつ、初めて佐々木先生からの郵便物にテンションが上がって、開封を優先しそうになったけれど。

先生がうちの総合病院を辞めて、地元の長野県へ帰ったのは先月のこと。先生はそこで小児科のクリニックを開業するための準備をしている。


私は先生から告白をされていて…いつの間にか、私も大好きになっていた。私からの告白は、機会を逃してしていない。
まだ先生が東京にいるときに、「先生と離れるのは寂しい」と泣いたことがある。「僕も寂しい」と抱きしめられ、「想い出を作ろうか」と優しく触れるだけのキスをされた。
---先生、想い出に残りすぎてます。感触も、眼差しも、声音も何もかもが私の胸を締め付けます。

先生と繋げたラインを開く。
新しいメッセージはなく、郵便物について何も書かれていない。

外箱を開封すると、綺麗にラッピングされた箱が入っていた。
中には、スモーキーピンクの手袋。手首の同色のファーが可愛い。小さなストーンが控えめに散りばめられて、光の屈折でキラキラと輝く。柔らかな風合いの上質な手触りで丁寧な縫製が、直感的に高価な物だと予測できた。
雪景色のイラストが可愛いメッセージカードが添えられている。

『宮島さんに似合いそうな手袋を見つけて買ってしまいました。良かったら使ってくださいね』
先生らしいメッセージにクスッと笑みが溢れる。『似合いそう』だから『買ってしまった』と伝えてくれる先生の素直さを可愛いと思う。

「逢いたいな」
この手袋を着けて、東京でも長野でも。
手袋を嵌めてみる。嵌めたままでもスマホが操作できる加工が施してあって実用的。女性用に作られた細身の手袋は指先が動かしやすいし、軽くてとても温かい。カシミヤだ。それも高価な。
デザインの可愛さ以上に日本製の価値のある商品なのだろう。
高価な商品のこの手袋を身に着けていて変ではない女性になりたい。それがきっと、佐々木先生の隣に並んで相応しい女性だと思うから。
願わくば、先生が想像した通りにこの手袋が私に似合っていると思ってくれると良いな。そしたら告白する勇気も湧いてくるから。

ラインに文字を打ち込む。
『手袋が届きました。ありがとうございます!
とても可愛くて、温かくて、素敵な手袋で気に入りました。』
この手袋をはめて、先生に逢いたいです、…って書いても良い?と一瞬躊躇して、書くことに決めた。
先生は、私の考えていることを知りたいときっと願ってくれているから。私が逢いたいなら、先生も逢いたいと思ってくれていると信じられるから。

『この手袋をはめて、先生に逢いたいです』



手ぶくろ #2

12/27/2024, 3:42:43 AM

変わらないものはない


子どもが小さな頃。それこそ赤ちゃんのときは、赤ちゃんから目を離さないように必死だった。目を離した隙に、赤ちゃんにとっての危険が待ち受けているから。

子どもは成長して小学生になり、友だちと遊ぶようになった。
「友だちと南公園に行って来る。5時に帰って来るね」
そう言って遊びに行って、17時に帰宅する日があれば、遅くなる日もある。
30分経っても帰宅しないときは、心配して迎えに行く。
「約束は守ってね。心配するから」と子どもに教えた。
同居する祖母が帰宅したことを喜んで、おやつを出している。
「今食べたら夕食に響くからあげるなら少しで』
そう言っても祖母はあれもこれもと子どもに差し出す。
子どもの方が、おやつを残すようになった。

高校生になり、バイトをするようになった。
「遅いねぇ」
祖母が心配する。まだ18時。20時までシフトに入っているはずだから、帰宅できるわけがない。それを伝えて納得したはずなのに、19時には帰宅するのが遅いとソワソワしている。

子どもが成長するに従って、その年代に寄り添いながら子どもの生き方を尊重しなければいけないと思う。
でも、祖母はそれができずに、いつまでも幼少期の頃のままの対応をする。


愛情は同じだけ注ぐけれど、注ぎ方があるんだよなぁ。

心配性の高齢の祖母を見て、変わらないことが良いことではないんだなあと思っている。




変わらないものはない

12/26/2024, 2:05:50 AM

「疲れたー」
「お疲れさま」
クリスマスイブの当直明けで愛しの彼女宅へ上がり込むと、愛しの青木由希奈ちゃんが俺を出迎えてくれた。
ちなみに由希奈は外科病棟の看護師で、俺は同じ病院のレントゲン技師。交際開始後1ヶ月のラブラブなとき。
まだ俺たちの交際を知っている人は職場内にはいない。仕事中の接点はそれほど多くはないけれど、全くないわけではないから、周囲に気を遣わせるのも何だかなあという理由で。

シャワーを浴びてから、俺と自分の軽食を準備してくれている由希奈に声をかける。
「夜の転倒患者さん、歩行状態問題なくてこのまま様子見ます、って浅尾先生わざわざ報告くれたよ」
由希奈は準夜勤務で、転倒患者に関わったうちの1人。俺は当直の浅尾先生からのレントゲンのオーダーを受けて、病室でポータブルのレントゲンを撮影した。レントゲンの時点で骨折はないと判断されたけれど、筋肉やら痛めた可能性もある。それを浅尾先生は問題なかったとレントゲン技師の俺にまで報告をくれたわけだ。
「浅尾先生ってマメだよな」
「ね。あの人は天然の人たらしだと思うよ。老若男女、誰にでも平等で面倒見が良くて、おまけにあのルックスだもん。浅尾先生は人気しかないよ」

フランスパンにサラダ、クラムチャウダーが並ぶ豪華メニュー。
クリスマスだからって、これは。
「由希奈、準夜勤なのに早起きしたの?頑張りすぎ。すっげぇ美味そうだけど」
「自動調理器だよ。材料入れてスイッチひとつで完成ってありがたいよね」
「って言ったって、材料を揃えたり、カットしたり、工程は踏んでるんだから。もっと自慢したって良いのに」
「ん、じゃあそうしよ」
「おう。褒めちゃる」
両手を広げると、胸に擦り寄ってきた。ハグしつつ頭を撫でると、背中に手を回してくれる。

「由希奈」
顔を上げさせて、瞳を見つめる。
由希奈の頬が上気したのがわかった。
「ご馳走食べたら…良い?」
「…うん」
ゆっくりと小さな口づけを繰り返す。
「あー止まんなくなってきた」
「もう」
「よしっ。冷めちゃうから食べよ」
由希奈の身体を引き剥がし、食事を開始する。


彼女と交際1ヶ月目のクリスマス。
彼女手作りのご馳走を食べて、ベッドでいちゃいちゃしながら過ごしてしまいそうなクリスマス。
それも良いような気がするけど、由希奈の身体は辛くなるかもな。由希奈の希望も叶えてやりたいし。

「なんかやらしいこと考えてる?」
「ん、まぁ、否定はしない。けど、辛くなる前に言ってほしいなって思ってた」
「ん。木村大和くんは結局優しいね」
「なんだそれ」
「好きだなぁってこと」
「由希奈さん。食事を食べ終えてから言ってください」
「はあい」

自分に厳しい彼女を、俺なりに甘やかせてあげるクリスマス。




クリスマスの過ごし方   関連作品 イブの夜に 2024/12/25
                  微熱   2024/11/27

Next