【イブの夜】
始めて出会った年の冬に初雪が降って
それはイブだったかは思い出せないけど
誰もいない部屋の中で
暗い夜にやってきたそれが
あまりにも眩しくって
窓に張り付いて眺めてた
自分の出した息で白くなった窓に
嫌でも生きてる事を認識させられたけど
ガラス越しに見た世界をもっと見たいと思えた
もしかしたらサンタさんからの贈り物だったのかも
澄んだ空気の中でキンと冷えた空気でさえ
きみのようだったから
2024-12-24
【プレゼント】
僕から渾身のプレゼント
きっときみの周りにある素敵なものには
僕が作ったものなんて目劣りするだろうけど
多分僕にしか作れない物だと
少しの自信を持って言えるよ
これまでは成果を気にして背伸びして
自信がなくて後ろに隠してたんだけど
ただ純粋なきみが好きという気持ちだけでいいと
気が付けたから
今年は等身大で
どうか受け取ってもらえたらいいな
2024-12-23
【ゆずの香り】
きっとゆず湯のことなんだろうけど、
お酒が好きだからゆず酒が浮かんじゃうね
2024-12-23
【大空】
生まれた時から
広げられない翼を背負わされて
地面から足が離れないから
まるで虫のようだと見下されながら
見上げた先にある黒い言葉を放つ人の背には
綺麗な翼が飾られていた
汚い言葉を話せないとこの空に飛び立てないなら
それでもいいかと痛めた首を下に向けた
その大きな翼で飛べたって
この大空は自分のものにならないのだから
広げられないこの翼は
誰もが望むような幸せなんかより
足元にある小さな幸せを見つける方が良いのだと
そう教えてくれている気がする
コンクリートの隙間に生えた青い小さな花が
風に揺れている姿が青い空を写したようで
僕にはちょうどいいなと隣に腰掛けた
2024-12-21
【ベルの音】
隔てられた壁越しに触れ合う手と手
同じ髪型に同じ顔
だけど性別と服装、
合わせた手の位置が少しだけ違っていた
片方が笑えばもう片方も笑って
もう片方が首を傾げれば片方も反対側へ首を傾げた
辺りは暗く何があるかわからない空間だったけど
お互いに触れ合っていればその暖かさを感じるとともに
少しだけ周りが明るくなった気がした
片方がもう片方の場所に行きたいと
直接触れ合いたいと思うようになった
こんな暗闇の中
心細い時にいつもそばに居てくれる
もう片方の場所へ行って寂しさを埋め合いたかった
お互い言葉がなくても胸の内の本音が
痛いほど伝わっていた
お互いを隔てる壁を何度殴っても向こう側へ届かない
拳も胸も痛くて泣き出してしまった時
初めて反対の表情を見せたもう片方が歌を歌う
その声はとても上手とは言えないほど
滑舌が悪くて笑ってしまう片方
その歌声で何故だか心から安心できる気がした
泣き止むとその歌を教えてくれるもう片方
言葉は無くともお互いの心境は
手に取るようにわかったから
片方も歌い出す
2人の歌は暗い空間の外側へ漏れ出して
誰かのそばを通り抜けた
2024-12-20