【寂しさ】
誰もそばに居ないから
誰も言葉をかけてくれないから
誰の手とも繋がっていないから
僕だけがわかるように
僕の周りに透明な棘を纏って
近づいてきた人のことを突き放すんだ
誰かに触ってしまった後の
暖かさを知ってしまったら
もう戻れないことは知っていたから
2024-12-19
【冬は一緒に】
レースのカーテン越しに覗き込んだ世界が
薄い水色の空に陽の光が線になって見える
そんな朝をぎゅっとかき集めて
澄んだ季節にだけ特別に世界にばら撒かれたよう
宙にいる間も落ちていたとしても輝きを絶やさず
ただ触れるとすぐに溶けて消えてしまう
この身体できみに触れられたのなら
燻って離れない突っかかった想いも
溶けて消えてくれるかもしれないけど
この体温の違いがどうしようもなく心地よいから
保たれた関係であることも僕が1番理解しているから
だから、今年の冬も一緒に居て
2024-12-18
【とりとめもない話】
僕が発した言葉は人を不快にするようで
誰に何を言ってみても
黒く塗りつぶされた言葉が返される
僕も相手も嫌な気持ちになるのなら
もう黙っていようと決めたんだ
そんな僕の掟を破り捨てて
きみは僕の話を聞きたいという
僕が話す言葉なんて借り物でしかないのに
楽しそうに聞いてくれるきみをみて
お話することが苦しく無くなった
それから
あの曲とあの曲は実は裏設定で繋がっていそうだとか
この曲は中毒性があって頭から離れないだとか
その曲はきみと僕のことを言ってるみたいで最高だとか
そんなどうでもいいような話ばかりして
今日も日が暮れて星が顔を出す
2024-12-17
【風邪】
風邪で苦しくなったことがないから
人の苦しみがわからないや
40度の熱が出てもふらつかず笑顔を振りまけるんだから
そりゃ誰も心配しないし
気がつきゃしないのでしょう
でもどんな時も頭の中で流れる音楽があれば
孤独じゃないから
別に寂しくはないけどね
2024-12-16
【雪を待つ】
きみと初めて会った年の冬に
初めて降った雪のような
純粋な気持ちだけで
きみからの言葉を受け取れて
ただまっすぐに楽しいことを追いかけられて
全身できみを受け入れざるを得ないような
そんな気持ちで迎えられる冬は久しぶりで
きっと今なら素直な言葉を記せるから
だからただ雪が降るのを待っている
2024-12-15