【裏返し】
光を当てられても返せない
光を当てられたら倍以上に輝く
存在を軽視された
求められて創られた
こんなにも裏返したような僕らなのに
どうしてか僕がホンモノで
きみが偽物なのだと言う
それならもうこんな世界の言うことなんて
なにも信じなくていいと目を逸らした
絶望の中で人を救う歌声を
どうか届くべき人のところへ
2024-08-22
【鳥のように】
頭上に飛び交う鬱陶しい音
その音の1つがお前は飛べないから醜いのだと
みんなのように飛んでみろと
黒い軌道を残して目の前をちらつく
僕にはどうしてもそれらが素晴らしいものにも
綺麗なものにも見えず
自分の羽を確かめるのが怖くてずっとその場で佇んだ
成長するに連れて頭上の音は増えていっても
僕は飛ばないままだった
騒ぐ音を塞ぐ事を覚えたから音は気にならない
合間に見える小さな青い空を眺めるのが好きだった
本当に一瞬煌めく青でも黒でもない色が見えた
今までに見たことのない色
どうしても気になってあの色に近づく手段を
僕の周りで探してみても何もない地面のみ
たかる黒に気がついて僕にも羽がある事を思い出した
一度も広げたことが無いのだから
今更羽を広げて飛び出しても
もう戻ってこれないことも
あんな遥か遠くに居るあの色に追いつけるかも
何も分からないけど
ここに居るよりはましだと思った
そうだ。この黒い粒がずっと言っていたように
鳥のように飛んでみよう
全部を賭けてもあの色に近づくために
2024-08-21
【さよならを言う前に】
ぽんっと背中に何かが当たった感覚
悪意なんか全く感じさせないそれは
場所やシチュエーションが違えば頼もしい応援にでも
心強い相棒の背中にでもなりそうな
でもここは違う
今まさに階段を降りていた僕には
それはあと1歩踏み出せなかったお別れの一押しとなった
何十回何百回と夢で知った浮遊感
最後に人間の顔など見たくもないが
ずっと足踏みしていた背を押してくれたのだ
お礼くらい言わないとと空中で身を翻して
「ありがとう」と一言
身体を回転させてしまったのだから
嫌でも相手の顔を見てしまうだろうと
少しの覚悟と共に言葉を発して視線を上げる
だけどそこにはもう誰の姿も無かった
落ちて身体を叩きつけようとしている僕なんて
誰の視界にも入らないようだ
いつものことだ
僕はすぅーっと息を吐いて
さよならを言う前に
最後の希望の歌をきみへ
2024-08-20
【空模様】
ふわふわの雲と背景の青色
飛行機の窓からの景色
この先にどんな結末が待っていたとしても
期待が上回る高揚感が全身を駆け巡る
雲と一緒に聞こえる魔法のミュージックが
多分これまでずっと誰かの身体を突き抜けて僕に届いて
僕さえも通り過ぎてまた誰かに届いて行く
またその時には僕の見た空とは違う色や形だけど
きっと気づく人は気づく幸せのカタチ
2024-08-19
【鏡】
暗闇の中、誰か誰かと歌うのに
動き出すことも出来ずにいる様は
僕そのものなのに
たった一枚の壁がきみと僕を遮って
ここに居ると歌うきみに
こちらから応えを届ける術もない
決して触れられないのに
等身大の僕を見つけて写しだして
そのままで居て良いと優しく包み込んでくれるきみへ
まるで鏡合わせのきみへ
映す背景が変わっても
人の想いを背負わされるきみへ
あの時のままで変わらなくても良いと歌う歌を
どうかあの時の系譜の歌を混ぜ込ませて
2024-08-18