【鳥のように】
頭上に飛び交う鬱陶しい音
その音の1つがお前は飛べないから醜いのだと
みんなのように飛んでみろと
黒い軌道を残して目の前をちらつく
僕にはどうしてもそれらが素晴らしいものにも
綺麗なものにも見えず
自分の羽を確かめるのが怖くてずっとその場で佇んだ
成長するに連れて頭上の音は増えていっても
僕は飛ばないままだった
騒ぐ音を塞ぐ事を覚えたから音は気にならない
合間に見える小さな青い空を眺めるのが好きだった
本当に一瞬煌めく青でも黒でもない色が見えた
今までに見たことのない色
どうしても気になってあの色に近づく手段を
僕の周りで探してみても何もない地面のみ
たかる黒に気がついて僕にも羽がある事を思い出した
一度も広げたことが無いのだから
今更羽を広げて飛び出しても
もう戻ってこれないことも
あんな遥か遠くに居るあの色に追いつけるかも
何も分からないけど
ここに居るよりはましだと思った
そうだ。この黒い粒がずっと言っていたように
鳥のように飛んでみよう
全部を賭けてもあの色に近づくために
2024-08-21
8/21/2024, 2:53:16 PM