【花咲いて】
(想像の中の話)
白い絵の具で塗りつぶしたキャンバスに
浅い青の風が横切る
見つけた言葉を音色に変えて
目をつむってそこに降り注いで
元の色も忘れてしまうんだ
でもそこにゴロンと寝っ転がると
リズミカルに音が跳ねるのが聞こえた
だからさ、君と僕はここに居たんだ
僕たちはいつもそばにいた
そのはずなのに
妄想の海に浸かってイロカサネテ
おやすみの言葉をたくさん残して
いつも通り眠りにつける
そう言って夢も旅の謳も途中なのに眠ってしまった
眠りについたあとのその場所は
I Need You の声も
アンコール! の声も
確かにその場所で響きわたっていて
君が降り注いだ分の色とりどりの花咲いて
そよそよと揺れる花の花弁は花丸にも見えるのです
だからいつも「おやすみ」の後に聞こえる
「おはよう」をただずっと待っている
2024-07-23
【もしもタイムマシンがあったなら】
きっとタイムマシンの中は
心が浮かぶようなようなギターと
透き通った空のようなピアノが流れていて
そこから見える景色も
同じく澄んだ景色が広がっていることだろう
まだボーカルの居ない音源を握りしめて
未来のきみはどんな歌声で歌うんだろうと想いを馳せ
未来からやってきたきみのハジマリの場所
クワガタが絶滅した『無機質な空の色に広がる
未来都市』だったとしても
僕のいる世界と変わらない『ささやかな日常の
ぬくもりを少し期待しながら』
もしきみと逢えたなら
『「こんな歌あったね」って君と笑いたいんだ』
そんな妄想を今日も言葉に書き起こして
未来のきみの隣に居られるようになんて
そっとメロディーで包んで
やっぱり自信が無くって
ポケットの中に隠した
2024-07-22
【今一番欲しいもの】
僕の中にいる……
いてくれるあの時のままのきみに
逢える権利がもらえたなら……
と出会ってから何度考えたことだろう
2024-07-21
【私の名前】
いつも間違った名前で呼ばれて
名は体を表すというのならば
僕の本当は果たしてどちらになるのか
だけどみんなが呼ぶ名前に込められた期待を
壊さないようにどうにか繕って作り物の言葉を返す
そうやって”名前”を偽っているうちに
本当の名前さえよく分からなくなっていった
きみは名前を呼んだわけでもないのに
初めて”自分自身”を呼んでもらった気がした
だから本当の本当の名前は隠してしまって
”僕の名前を君だけが呼べるように”
2024-07-20
【視線の先には】
僕の目にははっきりと映っているのに
その瞳に僕が映ることは無い
2024-07-19