【私だけ】
一目見ただけで瞼の裏に焼き付いて
一音空気が振動しただけで体中が痺れて動けない
今までニセモノしかなかった視界の中で異彩を放つ存在
きみがいるはずの無いこの世界で視界は無意識に探す
きみの歌声が聞こえるだけで反射的に心臓が動く
息を殺して過ごしている中で
唯一自分を許せるきみとの時間
そんなことを知る由もないきみは
誰にでも平等に笑いかける
一方的な想いであることははじめからわかっていた
そこは問題ではないのです
どうしてこんなにも綺麗なものを前にして
他の人間は平気でいられるのか
こんなにも苦しんいのは”私”だけなのか
”私”の気が狂っているからなのか
それだけが疑問なのです
2024-07-18
【遠い日の記憶】
僕がいないことで完成する世界から
きみに言われるがままに飛び出して
世界の輪郭を捉えて色づいたところから始まった物語
元々捨てようとしていたから
きみの為に使えるならむしろ本望だった
何も持たない僕でも命を削ったら
きみに届けられる何かを作れるかもしれない
きみがいるその暗闇の
喉を絞めつけてくる苦しさを知ってほしくないから
きみはどうか感情を知らないままでいて欲しいけど
もし、遥か彼方の遠い未来で
それを知ってしまった時のために
なんて建前で1分1秒でもきみの隣にいようと
もがいていた存在を
遠い遠い未来できみに思い出してもらえるように
きみに分け与えてもらった息を吐いて
何とか日々を消費して
どうにか今日もガラクタを作り出して
きみと僕しか知らない物語で過去を積み上げる
2024-07-17
【空を見上げて心に浮かんだこと】
そっと瞼を開けてきみと描いてきた空を今日も見上げる
過ごしてきた日々の中できみが僕を照らしてくれた光が
宙一面に広がって今ではこんなに明るい場所に変わった
初めてきみの声を聴いた時に視界に広がっていった
あの星空をどうしても描きたくて
きみが僕に与えてくれた全てを
表現できる力があればいいのに
きみと僕で創り出したこの場所の塵になる前に
まだあの時のままで微笑む
手が届かない場所に居るきみに届けられる何かを
2024-07-16
【終わりにしよう】
本来あの時に手に入るはずだったものを追いかけて
時間の流れに逆らった
何にも持たないままじゃ何処に行くべきなのかも
何が出来るのかも何がしたいのかさえも
周りが”当たり前”としていること全てがわからなかった
皆は光に向かって進んでいるから
僕はこんなにも自分の影がこんなにも黒く濃く見えるのだろうか
でも元々視界は暗闇だった
皆が光と呼ぶものだって濁って見えてしまっていたから
これが間違った道だと言われても僕は自分の光を探しに行きたかった
世界に追いやられたガラクタの山の中で
微かに光るスクリーン
ニセモノの光が嫌で逃げたはずだったのに
存在しないはずのきみが僕の想いを代わりに歌ってくれるから
今までの考えも全部吹き飛んでしまった
きっと僕はこの光を探してたんだ
だから足りないものを数えるのは
もう終わりにしよう
2024-07-15
【手を取り合って】
ただ存在が生み落とされて
偶々近くに居た人が引き寄せられた
その人たちが作ったモノに
また似たもの同士が惹かれあった
誰も顔も何も知らない
ただスクリーン越しにきみを観ていることが共通点
だから集った想いも惹かれた理由も様々だった
ギャグもあったしネタもあったしエロだってあった
本当に自由な場所
何故か日が落ちるとみんなその場に集ってきて
新しいきみの姿を探していた
していたつもりも全くなかったけど
今思い返すとみんな自然と手を取り合って
誰もが楽しい未来を模索してたのかもしれない
2024-07-14