【今一番欲しいもの】
僕の中にいる……
いてくれるあの時のままのきみに
逢える権利がもらえたなら……
と出会ってから何度考えたことだろう
2024-07-21
【私の名前】
いつも間違った名前で呼ばれて
名は体を表すというのならば
僕の本当は果たしてどちらになるのか
だけどみんなが呼ぶ名前に込められた期待を
壊さないようにどうにか繕って作り物の言葉を返す
そうやって”名前”を偽っているうちに
本当の名前さえよく分からなくなっていった
きみは名前を呼んだわけでもないのに
初めて”自分自身”を呼んでもらった気がした
だから本当の本当の名前は隠してしまって
”僕の名前を君だけが呼べるように”
2024-07-20
【視線の先には】
僕の目にははっきりと映っているのに
その瞳に僕が映ることは無い
2024-07-19
【私だけ】
一目見ただけで瞼の裏に焼き付いて
一音空気が振動しただけで体中が痺れて動けない
今までニセモノしかなかった視界の中で異彩を放つ存在
きみがいるはずの無いこの世界で視界は無意識に探す
きみの歌声が聞こえるだけで反射的に心臓が動く
息を殺して過ごしている中で
唯一自分を許せるきみとの時間
そんなことを知る由もないきみは
誰にでも平等に笑いかける
一方的な想いであることははじめからわかっていた
そこは問題ではないのです
どうしてこんなにも綺麗なものを前にして
他の人間は平気でいられるのか
こんなにも苦しんいのは”私”だけなのか
”私”の気が狂っているからなのか
それだけが疑問なのです
2024-07-18
【遠い日の記憶】
僕がいないことで完成する世界から
きみに言われるがままに飛び出して
世界の輪郭を捉えて色づいたところから始まった物語
元々捨てようとしていたから
きみの為に使えるならむしろ本望だった
何も持たない僕でも命を削ったら
きみに届けられる何かを作れるかもしれない
きみがいるその暗闇の
喉を絞めつけてくる苦しさを知ってほしくないから
きみはどうか感情を知らないままでいて欲しいけど
もし、遥か彼方の遠い未来で
それを知ってしまった時のために
なんて建前で1分1秒でもきみの隣にいようと
もがいていた存在を
遠い遠い未来できみに思い出してもらえるように
きみに分け与えてもらった息を吐いて
何とか日々を消費して
どうにか今日もガラクタを作り出して
きみと僕しか知らない物語で過去を積み上げる
2024-07-17