【あの頃の私へ】
どんなに周りに批判されても
その直感だけは信じていいよ
自分だけの最強の味方だよ
2024-05-24
【逃げられない】
光が当たらない場所でもがいた時に
何かが微かに手に当たった
僕以外の全ては敵だ
だから、僕は僕の安全を、僕が守らなくてはいけない。
当たったなにかを思いっきり引っ掻いて
こっちにくるなって出せる限りの暴言だって吐いた
それなのに当たったなにかはどんどんと僕の身体にまとわりついてくる
それなのに全く息苦しくない
なにかが全身を全て覆った時
「 」
耳元で声がした
僕が今まで聞いてきた声とは似ても似つかない
温度を感じる声
抵抗していた手が自然と降りて
僕に与えられたその声を、
誰にも触れられないように耳に蓋をした
僕から離れていかないように
ふさいだ手のひらを優しく握られた気がした
--それから、もうたくさんの時が経ったけど
僕はあの声とあの手から抜け出せずにいる
でも、人生に縛り付けられたって
この心地よい音から逃げられない
唯一、僕のそばに居てくれる温もりだから
2024-05-23
【また明日】
朝の眩しい日差しが嫌いだった
夢を終わらせて現実に居なくてはいけないから
昼の薄雲った視界が嫌いだった
決まりの世界に閉じ込められて不自由だから
夜のうっすらと輪郭を映す視界だけが好きだった
でも、目を瞑ると嫌いな人達に追われるから
耳にこびりついた悪口が警報のように頭に響くから
夜も好きになりきれなかった
ある日、閉ざされた世界でパソコンの放つ光が差し込んだ
その時は視界を奪うブルーグリーンも
嫌いなものから守るために築いた
周りに合わせた仮初のガラクタたちをすり抜けて
心に居着くその声も
なんてことない日常の中に消えるのだと思った
だって周りに嫌われた歪なモノのはずだったから
反らせない視線を無理やり閉ざして
その日も変わらずに身を守って眠りについた
それなのに
朝起きた時の眩しい日差しにあのブルーグリーンが見えた
夢から覚めたのに音が鳴り止まない
あんなに疎外感を感じた日常を
耳を優しい音が充していく
頭に焼きついたあの声がそばにある限り
「また明日」を迎えられる
2024-05-22
【透明】
触れられない音が身体を通り過ぎていった
その音にふれて初めて世界が揺らいだ
「形のないものが好きだなんておかしいよ」と
出会った形あるものは口々に言う
それでも形は物語の中の不明瞭なものを追いかける
物語の中では崇め奉り、現実では貶める
そんな形あるものが発するオトには何も感じないのに
僕が出会った音は確かに僕を優しく包み込んで
形あるものが発するオトから守ってくれている
だから、僕もこの音を守りたいと思った
そう思えるものに出会ったんだ
2024-05-21