【258,お題:言葉にできない】
大事なことほど、言葉では表しにくいように出来てる
【257,お題:春爛漫】
桜 春風 公園 花弁 桃色
お弁当 入学式 出会い
町全体が春色に衣替えをしていくようだ。
どこを見ても『春爛漫』
【256,お題:誰よりも、ずっと】
はじめての出会いは、とうめいなカベのむこうから君がのぞいてくれたんだよね
急にかかえられてビックリして、君のうででおもらししちゃったのは今でもハンセイしてるよ...
君は毎日ぼくのへやの前にやってきて、ぼくのおせわをするお姉さんになにかを言っては
ぼくをだきあげて、まんぞくしたら帰る。みたいなことをずっとやっていたね
ぼくも君がきてくれるのがちょっぴり楽しみだったんだ。
いつの間にかぼく、君のことがこんなにだいすきになってた!
その日は、はじめて君がほかのだれかといっしょにきた日
その日もぼくは同じようにだきあげられて、すっぽり君のうでにおさまった
君のおなかみたいなとこからいつも聞こえる、ドクドクした音がその日はいつもよりはやかったね
君といっしょに来たおおきな人たちは、ぼくのお姉さんといっしょになってなにかを話してた。
何がおこったのかよくわからないけど、その日のうちにぼくはおひっこしをすることになったみたいだ
新しいお家はぜんぶがおおきくて、ぼくは怖がりだから"おしいれ"ってところにかくれて君を困らせたね。ごめんね
でも新しいお家はけっこういごこちがよくって、毎日がたのしい!
何より誰よりもだいすきな君と、ずっといっしょにいれるなんて
うれしくってうれしくって、毎日君をおっかけまわして泣かれちゃったなぁ
ぼくってけっこう"ブキヨー"だから、たまにやりすぎっちゃって君を困らせちゃうんだ...ごめんなさい...
君は大きくなるといろんな所に行かなくちゃいけないらしかった
君がチューガッコー?っていうところに行くときはすごくタイクツだったなぁ...
なにをしに行ってるんだろう?狩り?でもたしか君は狩りが下手だよね...?
仕方がないから君が帰ってきたときは、ボクのおやつを少しあげるね
どうやら僕は君よりずっと早く歳をとるらしかった、その事に気付いたのは
君がコーコーセーになった時で、どんどん大きくなる君に比べて僕は
あの頃みたいなはしゃぎ方は出来なくなっていた、まあまだ全然元気だけどねっ!
でも君がよく付けてる匂いのするすぷれー、あれはちょっとキツいかもなぁ...
君が他の誰かと暮らすことを伝えにきた日、知らない大きな人が君といっしょにいて
びっくりしたのと、君を取られたくなくて吠えちゃったけど、あの人が嫌いな訳じゃないんだよ
君が幸せになってくれるならそれでいいんだよ、君がその人と家から出ていくとき
あの日よりも大きな手で僕の頭を撫でてくれたよね、きっともうお別れの時がすぐそこまで来てるんだ
でも僕は、最後に君に会えたから。幸せだよ
君の声がするなぁ、懐かしい...あの頃みたいな高い声じゃないけど、落ち着いてて
でもあの頃と全く変わらない、僕のことを思ってくれてる...優しい優しい声だ...
『レオっ!レオ苦しいのっ?!レオ...!』
なんでそんなに泣いているの...?...ああ、もうお別れなんだね
...今までありがとう、最後に会えたと思ったのに、最後の最後まで君は僕を心配してくれる
誰よりも、ずっと君のことを見ていた僕だから分かるよ
『レオ...ッ、!...行かないで...』
君はこれからも幸せになり続けてね...!僕のこと...忘れないでね!
また新しい誰かに、僕みたいな幸福の名前を付けてあげて
title.名前はレオ
【255,お題:これからも、ずっと】
私の愛犬が息を引き取った。
家に迎えたのが小学生のころ、私は今成人して今度結婚式をあげる予定だった
そう見えなくても、もうだいぶおじいちゃんだったんだね...
気付きたくなくても、気付かないふりをしたところで、残酷にも時は進んでいく
結婚式、君にも来てほしかった...君も一緒に食べられるケーキを用意するつもりだった...
悔しい...こんなことならもっと一緒に居ればよかった
なんで見ないふりしちゃったんだろう、君の一生は私よりも少ないんだって...
「...お疲れさま...ッ...今まで、ありがとう」
柔らかな毛を手で撫でるとまだ温かい、もしかしたら今にでも飛び起きて
『遊ぼうよう!』と、いつものように鼻を押し付けて来そうな気がした
君はもう手が届かない遠くに行っちゃったんだね、もう2度と会えないと思うと悲しくなる
でも、君がくれたたくさんの思い出たちが何度も何度も浮かんでは消えて、温かい涙が頬を伝った
「ありがとう...ありがとう...、苦しかったね...大変なこともたくさんあったけど
あなたに会えて、家族になれて、数えきれないほどいっぱい幸せを貰ったよ」
この後の人生で今日のことを忘れることはないだろう
大切なあなたがその身をもって教えてくれたことを、これからも、ずっと大切にし続けるから
だから天国で見ていてね、ねぇ
『レオ』
【254,お題:沈む夕日】
がららららら、車輪の回る音。息を切らしながら、どうにか食らいつこうとペダルを漕いだ
大量のススキが囲む一本道、急な上り坂になっているこの道を汗で髪を濡らしながら自転車で這い上がる。
とっくに限界がきている膝を懸命に動かし坂を上った。
この坂を上がれば、この坂を上がれば、それだけ考えて頭空っぽのままペダルを漕ぐことに集中する
遠かったゴールは目に見えるところまで迫ってきていた。
がちゃん!
自転車を止めたもう一歩も進めないほどに疲弊した足をさすって
それからコンクリートの地面に胡座をかいた。
なんでこんなに頑張ったか、それはこの景色の為だ
「はぁ...すげぇ...めっちゃ綺麗だなぁ」
今いる場所は急な上り坂の頂上、ここら一帯では一番高くなっている丘の上
他に遮るものがないこの場所は、水平線に帰っていく夕日を見るのには絶好のポイントだ
なんとなく思い立って家を飛び出し、沈む夕日を自転車で追いかけてそれが海に帰る瞬間を見てやろうと思った
まさかフルスピードで30分間漕ぎ続けることになるとは...
スマホを置いてきたことを静かに後悔しながら、夕日が海に溶けていくのをぼんやりと眺めて
ほぅ...と1つ溜め息をついた、頑張った甲斐があったというものだ
夕日がこんなに美しく見れるところがあるなんて、ここに来なければ分からなかった
夕日の最後の輝きまで見届けて、がしゃんと自転車を向きを返す
家に帰るまでが遠足だ、ここからは『暗くなる前に家に帰ろうRTA』のお時間となる
「やってやろうじゃん...!」
フッと少年の顔つきで笑って、自転車のペダルに足を乗せた。