【208,お題:0からの】
今までの努力が全部無駄になるような絶望的な瞬間って
人生でこれから何度も経験していくんだろうな
辛くって、苦しくて、もう全部どうでもよくなって、
なにもかも投げ出したくなるよな...
でも、俺はそんな時こそ勝負の時だと思うんだ!
物語の主人公はどんなに絶望的でも絶対諦めない
挫けそうでも折れそうでも、歯を食い縛って逆境をひっくり返すんだ!
そうだよ!ポジティブに行こう!プラスとして捉えるんだ俺よ!0からの楽しみがあるじゃないか!
「......アイツ一人でずっっっと涙流しながら笑ってんだけど、どーした?あれ」
「なんか、ゲームのデータ全部飛んだらしい」
【207,お題:同情】
「同情」の類語は「思い遣り」だそうだ
類語とは同じような語を指す言葉だが、
何故だろう「同情」と「思い遣り」が同じような意味とは思えない
「同情」のほうが、なんとなく悪い意味に聞こえるのは何故だろう
日本語は、実際に使っている我々からしても
とても興味深く難しいものだ。
【206,お題:枯葉】
枯葉を集めて火をつけた
パチパチと鳴る火の粉に新聞紙とアルミホイルで巻いた"それ"を放り込む
枯葉追加したり小枝を入れたりして火の勢いを見ながら
"それ"を転がして全体をよく火にあてた
十分焼いたら"それ"を取り出し邪魔な新聞紙とアルミホイルを取り除き
何度か息をふいてから頬張った
「あーやっぱり焼き芋は最高!」
【205,お題:今日にさよなら】
読みかけの本を閉じて
電気を消して
布団にもぐって
瞳を瞑ったら
今日にさよならを
【204,お題:お気に入り】
「ねえ、その子僕のお気に入りなんだけど」
目の前を物凄い勢いでなにかが通り過ぎ
びゅおうと吹いた風が着物の袖をはためかせた
「へー、君も言うようになったものだねぇ」
ビッと互いに鋭い爪を喉元に突き付けながら凄む
1歩間違えたらこの屋敷ごと私は粉微塵にされてしまうだろう
どうか無事に事が終われと、臓物が捻切れそうな緊張感の中ひたすらそれだけ考えていた
「はっは、怖い顔するなぁ~後ろの彼女が怯えているよ?」
心の中を透かし見られた気がしてヒュッと内蔵が縮こまる
冷や汗が背を這う不快な感覚がした
「五月蝿いんだけど、早くどっか行ってくんない?」
「しっかし君がお気に入りを見つけるなんてね、新しい玩具でも欲しくなったの?」
「アンタの話を聞かない癖はいつ治るのかなぁ?...今から5秒以内に僕の視界から消えろ」
ずん、と空気が重くなる、自分にかかる重力が倍になったような気分だ
次の瞬間には乱闘が始まってもおかしくない、吐きそうな程の緊張と恐怖に目眩がした
だが、最悪な事態はギリギリ避けれたようだ
「わー怖い怖ーい、じゃ美人ちゃんまたねー!」
面倒ごとは勘弁、と思ったのか颯爽と相手は去っていった
「はぁ、マジでアイツ嫌~い」
彼はいつものとろんとした顔に戻ると、「僕えら~い!撫でて~」と子犬のように走ってきた
正直触れるどころか、同じ空間に居ることさえ憚られるほどの身分の差だが
それで機嫌を損ねてしまえばそれこそ首が飛ぶ、細心の注意を払って頭に手をやった
それにしても「お気に入り」か、彼らはとても気分屋だし根本的な解決には全くなっていないが
ほんの少し、緊張が和らいだ気がした