【184,お題:街へ】
木陰でうずくまっていた私を見つけてくれた
「何してるのー?」って屈託の無い笑顔で笑いかけてくれた
差し出された手は異常なまでに冷たくて
私と同じ「何か」の重圧を抱えたまま生きている人だってすぐ気付いた
「君も、一緒に行こうよ」
それでもその胸の中の冷たさを感じさせない程に、あなたは明るい人だった
私の道を照らしてくれる光、私にとってそうなりたいと思える目標の光
今日もあの屈託の無い笑顔で誰かを元気付けるのだろう
私だけのあなたじゃないのが、ちょっと残念だけど
あなたに救われたこと、一生忘れることはありません。
【183,お題:優しさ】
優しさを向けられると混乱する
自己肯定感が、底辺どころか床突き抜けて地球の裏に行きそうな程には低いから
優しさを向けられると脳内が、?でいっぱいになってしまうのだ
優しさは居心地が悪くてむず痒い
照れてるんだと、周りは勘違いしてるけど
綿で首をじわじわ絞められてる感じがする
少し苦しいけど温かくて、自分自身この感じが何なのか分かりかねている
【182,お題:ミッドナイト】
初めてお母様の言いつけを守らなかった日
生まれて初めて門限を無視して、手を引かれるままに塀の外に踏み出した
ずっと窓枠の中から見ていた景色、額縁に飾られた綺麗な絵画のような星空が
自分の目の前に存在することが信じられなくて、前を歩く彼を追いかけながらずっと上を見上げていた
「すごい...初めて暗い時間にお外に出た...」
「おりこーさんは夜更かしも禁止なのか?子供は夜更かししてなんぼだろーよ」
数歩先を歩く彼がぐんと伸びをして、これからどうしたいー?と振り返って笑った
「どう...したい?どうだろう...まずは寝るとことか、...?」
「...はぁ?お前まさか、これから寝る気でいんの?」
「えっ?だって早く寝ないと身体に悪いって...」
はぁぁ、と心底呆れましたみたい溜め息を付くと、彼はこっちに駆けてきて
ひょいと脇に手をいれると、そのまま私を上に持ち上げた
何事かとフリーズしているとそのまま頭付近に下ろされ肩車の形になる
「ほら行くぞ」
「どこに?お家?」
「違うわ優等生、遊びにだよ」
夜は自由な時間なんだ、と彼は言った
「ミッドナイトシティ、ってとこかな、変な奴ばっかで逆に楽しいぞ」
くくく、と笑いを堪えるような様子に、何となく釣られて笑みをこぼす
いつもはとっくに布団に入る時間だが全く眠くない
まるで魔法のようだと、ふと思いながら薄く微笑みをこぼした。
【181,お題:安心と不安】
僕はね、安心と不安は表裏一体だと思っているんだ。
人は様々なことで安心を得る、人との繋がりだったり
何かを手にしたり、知識なんかも安心に繋がるよね
だが、得たものは得た瞬間に失うことが確定されてしまう
大切な人と死ぬまで、死ぬその瞬間まで一緒に居ることは出来ないし
手にしたものが消耗品であろうとなかろうと、失くす 破損する 誰かに奪われる
と、失うチャンスは十分にある。知識や記憶も無限に蓄えられるわけじゃない
安心を手にした時、おまけのように不安もセットになって付いてくる
裏切り 喪失 反心 悔恨 怨念 忘却
いつも消えてなくなるかも分からない不安定なものに縋るより、自分で安心を造り出せば良いのに
何度裏切られても、期待通りでなくても人は人へ安心を求める
不安のリスクがあるのに、どうしてわざわざ紐を切ってバンジージャンプをするような真似をするんだろう
きっと僕には理解できない何かが、皆にはあるんだろうね
これは僕の一つの仮説であり、意見でしかないから真に受けなくて良いんだけど
馬鹿な方が、この世界は生き抜きやすいと思うなぁ
【180,お題:逆光】
私は写真を撮るのが下手で、よく光の方向を間違えてしまう。
被写体の後ろに光源が来たら、逆光になって写りが悪くなるなんて当たり前なのに
仕組みを理解することと、それを実用することはまた違った努力が必要だ。