まだ誰も知らないの
まだ誰にも知られたくない
すれ違う時に向けてくれる会釈とか
朝、時々後ろ髪が跳ねてるところとか
そんな小さなことに、胸が小さく音を立てること
いつかきっと、恋になること
すこしずつひとつずつ、そっとふんわり積み重ねていく
この秘密は、幸福
#secret love
ずっと前には、キラキラしてて色彩に溢れていた気がする。
ひとつ現実を知るたびに、少しずつ少しずつ色褪せて、誰にも言えないけれど、今はもう荒野みたい。
それでも。
いちばん底には、きっと欠片が残っている。
集めて育てて。
いつかいちめん、色とりどりの花で埋めつくそう。
溢れんばかりの幸福感に、心から笑える夢を見る。
#心の中の風景は
キャンバスに色をのせていく。
青い空、白い雲、そして夏草の濃い緑色。
空調の効いたこの部屋の窓からでもわかる夏の眩しさに目を細める。
夏の絵だねぇ。
そう言って、置いてくれた麦茶のグラスの中で、氷がカランと音を立てた。
なんだか懐かしいね。
これは、手をつないで一緒に歩いたあの頃の夏。
隠れられるくらい高かった夏草の背は、もう腰の辺り。
ずっと一緒にいたいと思ってた。
叶えられて、良かった。
来年の夏も、やっぱり君との夏を描くのだと思う。
#夏草
あれ、あれどこに置いたっけ?
僕の彼女は忘れっぽい。
よく何かを置き忘れては、探している。
ここにあるよ。
え、ありがとう!
よくわかったね、というか、これ探してるのなんでわかったの?
驚いて不思議そうに笑うのが可愛い。
いつも君をみているからって、気づいて欲しい。
いや、やっぱり気持ち悪いって思われたくはないから、気づかなくていいかも。
その顔をみたいから、僕は君の名探偵。
#ここにある
あれは合図を告げる鐘の音。
窮屈なドレスも靴も脱ぎ捨てて、素足のままで駆け出そう。
ばいばい、昨日までの理想のわたし。
引き止めるように呼ぶ声が聞こえても、もう振り返らない。
どこへ行こう。
きっとどこまでだっていけるはず。
だって私の背中には、白く輝く翼がある。
#素足のままで