本当は信用してないんじゃないか、私は仲間だと思われてないんじゃないか、誰も助けに来てくらないのではないか…そんな考えが、脳裏を掠めて動きが止まった。
刹那、
「…馬鹿みたい」
思わず笑みが溢れた。
伊達に10年も一緒に過ごしてきたわけじゃない。
喜びも苦しみも乗り越えて、時には喧嘩だってしてきた。これであの人たちが私を見捨てたというのなら、否、助けに来なかったその時は、すなわち私たちの部隊が全滅したということだ。
「私を精神的に追い詰めるところまでは、いい線行ってるわ…でもおあいにくさま!一朝一夕で崩れるほど、あの人たちへの信頼は薄くないのよね!」
こんにちは、元気ですか?
10年前の自分…ってことは、まだ中学生かぁ。
勉強に部活、趣味…夢中になれることをたくさん見つけた時期ですね。この頃は、読書やアニメ、部活に夢中だったかな?あってる?笑
10年ってね、思いもよらないことがたくさん起きるの。月並みだけど、悲しかったこと、嬉しかったこと、意外だったこと、今の貴方が想像もしなかったことを、私は経験してきました。環境も変わるし、気持ちの持ち方も変わる。
10年間の嬉しかったこと、悲しかったこと、色んなことを乗り越えて、性格もちょこっとだけど、変わったんだよ。
何があっても、貴方は乗り越えられる。10年後の私が保証するよ。
がむしゃらに頑張ることだけが正しいんじゃない、時には休みながら、貴方の歴史の1ページを大切に、紡いでいけますように。
「待ってて」
川の向こう側に彼を見つけた。歩いて渡れるような、浅く小さい川。早く彼に会いたくて、ワンピースの裾を持ち上げて川を渡ろうとしたら、「来るな!」と彼に怒られてしまった。デートに遅れても、お買い物で時間がかかっても嫌な顔ひとつしなかった彼が、今にも泣きそうな顔をして怒っている。
「ずっと待ってるから、急がなくていいから、今は帰りなさい。」
その言葉を聞いた次の瞬間、私は目を覚ました。白い天井、周りにはカーテンと電子音が鳴る機材が置かれている。あぁ、私は彼の元へ行けなかったのだ。
いつも私は彼を待たせてしまう。でも、彼は一度も嫌な顔をせず、「急がなくていいよ」と言ってくれていた。まだ何十年も待たせてしまうかもしれない、それでも貴方は待っていてくれるのでしょう。貴方が望むなら、いつか私の命の灯火が消えるまで「」。
「伝えたいこと」はありますか?
「大好き」
「助けて」
「応援してる」
「やめて」
「ありがとう」
「いかないで」
……
十人十色 三者三様 千差万別
『貴方の』想いを、『貴方の』言葉で
家族に会うことも、逃げることも、夢を見ることさえ叶わない。ただ生き、遊ばれ、散っていく。ひとり、またひとり。金と色が交差する、欲に塗れた、この場所で。