「待ってて」
川の向こう側に彼を見つけた。歩いて渡れるような、浅く小さい川。早く彼に会いたくて、ワンピースの裾を持ち上げて川を渡ろうとしたら、「来るな!」と彼に怒られてしまった。デートに遅れても、お買い物で時間がかかっても嫌な顔ひとつしなかった彼が、今にも泣きそうな顔をして怒っている。
「ずっと待ってるから、急がなくていいから、今は帰りなさい。」
その言葉を聞いた次の瞬間、私は目を覚ました。白い天井、周りにはカーテンと電子音が鳴る機材が置かれている。あぁ、私は彼の元へ行けなかったのだ。
いつも私は彼を待たせてしまう。でも、彼は一度も嫌な顔をせず、「急がなくていいよ」と言ってくれていた。まだ何十年も待たせてしまうかもしれない、それでも貴方は待っていてくれるのでしょう。貴方が望むなら、いつか私の命の灯火が消えるまで「」。
2/14/2024, 2:40:34 AM