【栄光を背に伸びた暗影】
走って、走って、たどり着いた栄光。
君を越えてたどり着けた。
君も、あなたも嬉しそうに微笑んでくれている。
偶然でもまぐれでもない、わたしの実力だって証明できた。
ティアラを3つ、取れた。
けれどみんなから返ってきた言葉は残酷すぎた
ーどうして勝つの
ーあの子の勝つ姿を見たかったのに
ーふざけるな
ーお願いだからレースに出ないで
ー主人公に勝ちを譲ってよ
やっぱりわたしは君のようにはなれないのかな
それはまるで──残酷すぎるほど脆く、暗く透明な世界に突き落とされたような非現実味を帯びていて。
それが同時に、長い…悲しいほどに長い迷宮の始まりだった
【花散る桜花】
トリプルティアラひとつめ
────桜花賞
わたしがトリプルティアラ路線に向けて出てきた中で当然、いちばん高い壁であり、初のGI
何より1番の難関が
────……リベちゃん
気づけばわたしはそう呟いていた。
そう、今回の1番人気ー主役はタニノリベルテ…リベちゃんだ
主役がわたしじゃないからって…勝ちは譲りたくない
わたしだってトレーナーさんたちと、みんなと積み重ねてきたものがあるから。
それに、君と走るって決めていたから。
────……勝つのは、わたし…だよ
君にそう言ったら君は微かに口元を緩ませてわたくしだって負けるつもりはない、と言ってくれた。
少しは、隣に立てる…好敵手だって思ってくれたら……嬉しいな
『暗夜』
僕は君が嫌いだ
人気があって
みんなから好かれていて
わがままで自分勝手な所が好かれていて
笑顔が眩しいくらいに可愛くて
僕にも優しくて
僕以外と仲良くしてて
辛いことがあってもちゃんと明るくて
僕以外にもちゃんと優しい君が。
太陽のような存在の君が、わたしはどうしようもなく好きだ
この世は理不尽だね。
みんなと仲良くしてもいいって思うのに、いざ君が他の子と楽しそうに話してて他の子の隣にいるのを見ると心がモヤモヤして僕だけ見てって思ってしまう。
そんなわたしはもう必要ないんだよ。出てこないで
隣を見ると、いつも君がいた。
不安になる時も君は微笑んで、大丈夫と言って背中を押してくれた
僕の不安なことも、悩みも、全部蔑ろにもバカにもしないで話を聞いてくれて受け入れてくれた。
ズルい人。それだから、優しくしてくれるから、他の人には取られたくないんだよ。
でも、だからこそその期待に、その優しさに応えたいから走るよ。
桜が満開で、原っぱにはたくさんの春の花が咲き乱れている。
ー綺麗だね
そうわたしが言うと君は
ーたくさんの色があるからね
そう答えてくれた。
わたしのこと、あまり分からないでしょ。
わたしもあまり分かりたくないの。
君と少しでも長くいるためにちょっとした事で話しかけて、隣にいること。
他の人に取られると…ほんの少しだけ……ね。
でもね、これだけは本当なの。
君の隣で見る春の花は独りで見るよりずっと綺麗だってこと。