どうして?
ひどい
寂しい
羨ましい
なんで?
言葉にできない感情たちがわたしの中でぐるぐると回っている
友達が元気なのは嬉しいしいいと思う。
けどなぜかわたしの中にある感情は微かな嫉妬と寂しさ
そしていつの間にか、なぜか死にたいとまで思ってしまう。
こんなわたし、とっくに捨てたのに。
今は笑わないと。
笑って、いつものわたしにならないと
【遠くの星に手を伸ばして】
外は不思議と心地いい気温だった。
でもどこか、少し寒くて────
微かに夜空に星が浮かんでいて、風の音すら聞こえない、静かな夜。
今の僕に似合うような、そんな雰囲気。
……こういう時、こういう気温、こういう空の下で思い切り駆け出せたらきっと楽しいだろうな
ほぼ毎回、夜空を見上げる度に思っていることなのにまるで初めてそう思ったように毎度繰り返しそう思う
僕は、走りたいから走る。それもあるけどいちばんは、
君に、憧れに手が届くように、憧れを追い越せるようにするために。
そのためなら僕は、わたしの全てを、魂、心臓をも全てを賭けてどこまでも駆け出そうじゃないか
【憧れまでの距離】
不思議と今日は足が前に、軽やかに進む
風がいつも以上に心地よく、空が美しく感じる。
このまま進めばどこまで行けるだろう
憧れに、あの人の影を踏めるくらいは追いつけるだろうか
今まではこんな気持ちもなかった。どうせ無理だろうと思っていた。
でも今は僕だけではない、仲間─ライバル──が、あなたが隣にいてくれるから、影を踏めるだけじゃない。僕のこの脚で追い越して、僕のこの手で歴史を創れる
不思議とそう、確信があった
【泡沫の夢】
永い、永い夢を見ていた気がした。
目が覚めるとそう感じた。何か色々なことをしていたような、まるで長い冒険に出ていたような感じで。
けれど何があったか思い出せない。
なにか、夢を見ていたのに
大切な夢のようなものを見ていたのに思い出せない。
【ここから始める僕だけの物語】
今日は僕のデビュー戦
みんなと走った時とは違う、トレーニングの時とは違う
新しいけどどこか重い空気がレース場を覆っていた
ファンファーレがなり、次々とみんながゲートに入っていく。
場の空気が静寂に包まれ、ゲートが開いた。
それと同時に、今まで少しずつ募っていた昂る気持ちが一気に押し寄せた。
最後の直線。
徐々にみんな疲れてきている様子だった。
僕も少しずつ疲れてきた
けれど、心の内にあるのは今も募り続けている勝利への渇望と、誰よりも先頭を駆け抜けたい気持ちだった。
残り200m。
僕の横には誰もいなかった。
少し後ろを走っていた。
これが先頭の景色ーー。
ゴール板を駆け抜けた。
聞こえてきたのは、僕の1着という実況と、大きく画面に僕の番号と着差だった。2分の1バ身差という表示だった。
ここから、始まる確信があった。