桜が満開で、原っぱにはたくさんの春の花が咲き乱れている。
ー綺麗だね
そうわたしが言うと君は
ーたくさんの色があるからね
そう答えてくれた。
わたしのこと、あまり分からないでしょ。
わたしもあまり分かりたくないの。
君と少しでも長くいるためにちょっとした事で話しかけて、隣にいること。
他の人に取られると…ほんの少しだけ……ね。
でもね、これだけは本当なの。
君の隣で見る春の花は独りで見るよりずっと綺麗だってこと。
いつか届くかもしれない、それくらいに思っていた栄光をあなたは『信じてる』と背中を押してくれた。
そして今、この瞬間取れた栄光。
わたしだけじゃない。あなたと一緒に掴めた栄光だ。
あなたは言ってくれた。『空の、その向こうの未踏の地に行ってみよう』と。
────うん、わたしはあなたとならどんな景色も見に行ける気がする。
これからも、ずっと…ずうっと、よろしくね
沈む夕陽と競うように、速く、速く一心不乱に走る。
前、あなたに聞かれたこと
────なぜそこまで必死で走るの?
やっぱり楽しいから。辛いことも走っているときなら忘れられるから。
何より、あの子に追いついて、わたしがあの子より先にゴールしたいから。
それに、あなたと見たい景色がある。この夕暮れの景色にも、何にも例えようのないくらい綺麗で輝く景色を、あなたに見せたいから。
あなたの目はいつも真っ直ぐで、真剣で。
不思議と初めてあなたの目を見た時から信じられるって思えた。
わたしも、この人となら──って思えるの。
だからさ、これからも隣で一緒に───歩いていっても、いいかな?
あなたもわたしも知らない世界を、景色を、一緒に見に行ってみない…?
今日は、星が顔を出している。
そう思った瞬間、僕の足は外へ、遠くへ走り出していた。
何かから逃げるように、何かを追い求めるように
ただ無我夢中で。
風を切る音が、地面を蹴り出す足音が、風にざわめく木々の音が、全てが心地よく感じる。
疲れて息が苦しくなるが、それはまるで気分が昂ぶっている時のように、気持ちが高鳴っている時のようで不思議と辛さは感じない。
さぁ、どこまでも行こう。あの一番星に、手が届くまで。
────どこまでも。