ちとせ

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4/5/2024, 12:27:11 PM

「星空の下で」

「今日は雲がないから星がよく見えるな」
 すっかり日が落ち暗くなった帰り道、西の空を指しながら彼は言った。
「ほら、ふたご座」
「……どれ?」
 僕にはただ星が散らばっただけに見える空も、彼にはいろいろな絵が浮かんで見えている。
「それ。あの明るく並んだ星がカストルとポルックス」
 永遠の命よりも片割れと共にいることを選んだ星の名を彼が告げる。
「ふうん。双子と言う割に似てないんだね。色も明るさも違うし」
「カストルとポルックスは双子じゃないらしいぞ。母親は同じだけど。それぞれに双子のきょうだいがいるらしい」
「へえ……。ん、どっちがカストルでどっちがポルックス?」
「青っぽいほうが兄のカストル。黄色っぽくてより明るいほうが弟のポルックス」
 神の血が流れるからか、弟のほうが強い光を放っているようだ。
「じゃあ僕たちがあの星座なら、君がポルックスかな」
 彼は眩しいから。
「嫌だよ。どっちかって言ったら俺はカストルのほうがいい。置いていかれるほうなんてごめんだ」
 だいたい、俺たちは兄弟じゃないだろ。そう言って彼は顔をしかめた。
「あはは。……カストルは、ポルックスがしたことをどう思っているのかな。共にいることを望んだのはポルックスだけの意思だよね」
「さあ。でも今もこうして一緒にいるんだから、嫌ではないんじゃないの」
「……そうかな」
「そうだよ」
「そっか」
 もしも僕がポルックスなら。きっと僕も同じ結末を選ぶ。その選択を肯定されたような気がして頬が緩んだ。

4/2/2024, 3:30:59 PM

 自分の気持ちに正直でいることを大切にしている。
 私は性格があまりよくないのだが、自分でこれは正しくないと思う状態でいるともやもやして気持ちが悪い。だから正しいと思う行動を取る。
 それが結果的に誰かのためになり、優しい人だと言われることもある。
 私が内心で何を考えていようと他人にはわからない。その行動から私がどんなやつなのか判断するしかない。
 他人の言う私の人物評と私の知っている私が乖離しているのは面白い。

4/1/2024, 9:00:25 AM

幸せに

 あれからずいぶん時が経ってしまったけれど、君は今どうしているんだろう。元気にしているのかな。
 あの頃ずっと一緒だと思っていた僕らの道は、こうして分かれてしまった。
 せめて君が今幸せであることを願うよ。
 どうかどうか幸せに。

 ……なんて。
 そんなことを思えるほど僕は人間ができていないんだ。
 あの日僕を裏切った君が、どうか報いを受けていますように。不幸になっていますように。
 僕と同じくらい、苦しんでいますように。

 ああ。こんなことを思う僕はなんて醜いんだろう。

3/31/2024, 2:15:10 AM

 誰かのための親切を何気なくできる人は素敵だと思う。
 本当に心から当たり前のこととして動ける人もいるだろう。でも緊張や不安を隠して何気ないふりをして行動する人もいるはずだ。
 それがふりでもふりでなくても、親切に加えて相手を気遣った態度も取れるのはすごいことだ。
 そういう人に私もなりたい。

3/29/2024, 1:18:34 PM

 暗い雰囲気の物語が好きで、昔はバッドエンドやいわゆるメリバも喜んで読んでいた。それがいつからかつらい展開に心が耐えられなくなってきて、この頃はハッピーエンドをより好むようになった。
 現実の世の中に悲しい出来事が多いからかもしれない。というより、私が歳を重ねるにつれてその現実が見えるようになったからか。
 めでたしめでたし、で終わる物語の安心感は心地よい。
 でもまた暗くて重い物語を心から楽しめるときが来るといいなぁ。

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