ちとせ

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3/28/2024, 12:43:24 PM

 ひとの目を見るのが苦手だ。
 でもたとえば配信画面で好きな人の顔をじっと見るとか、舞台に向けたオペラグラス越しに目が合ったと錯覚するとかというのは苦にならない。というよりむしろ好きだと思う。
 つまるところ、相手に見つめられている、そう意識してしまうのが苦手なのだろう。
 配信では相手はカメラを見ているし、舞台では客席のひとりなんて見ていないか、見ていたとしてもそれは暗い客席の中でライトを反射させたオペラグラスだ。
 しかし目の前にいるひとと相対するとき、こちらが相手を見ているように相手もまたこちらを見ている。それが苦痛で、それを実感したくなくて、私はそっと視線を落とす。
 相手がこちらを見ている事実は変わらないのに、それだけで少し気が楽になるのは不思議だ。

3/27/2024, 3:25:01 PM

 以前知り合いの子どもと話した際、心臓のあたりに手でハートマークを作りながら「ここにハートがあるんだよ」と教えてくれたことがあった。
 そうなんだねよく知っているね、と頷きながら、私はハートは頭にあるのではないかと考えていた。
 ハートを心臓と取るならそれは間違いなく胸にあるのだが、心と取るならそれは胸にあるのか、それとも物事を考える頭にあるのか。
 私は知識を得ることが好きで何かを考えることが好きで、だからそういったものと結びつけて頭にあると思った。しかしながら、理性とは相反するものとして心をとらえることもある。いやむしろ、思考を超えて感じる何かこそが心の動きなのかもしれない。
 頭にも胸にも心が存在していればいいなと思う。