ずっと苦しかった。自分を傷つけていた。言えなかった。何が楽しくて何が不満で何が辛いのか。周りについていくのに必死で置いていかれたくなくてしがみついて。やっとやっと手に入れた居場所だった。
歌が好きだった。私にとって歌はパートナーであり友人であり恋人でありそして家族だった。人生の軸だった。辛くても耳を音楽で満たせば別の世界に行けた。
何にも言えない惨めな自分とさよならできた。
外では両親が喧嘩をしていて、父親の不倫疑惑がどうだの、母親のヒステリーをやめろだの、離婚してやるだの、どうでもいい言葉ばかり投げつけあっていた。
知らない歌がある、メロディが好きな歌がある、勇気をもらえる歌がある、パフォーマンスが眩しい歌がある、叫んでくれる歌がある、歌えない歌がある、これから歌える歌がある。
それにどれだけ勇気をもらったのか分からない。
歌があってやっと一人前でいられた。自傷をしても生きていられた。踏みとどまった夜も踏みとどまれなかった朝も自分の気持ちを誤魔化すように空いた心を埋めるように音楽を聴いて歌っていた。
学校なんて行きたくなかったよ。本当は行くふりしてカラオケに行くのしんどかったよ。自分を傷つけるために薬局寄らないと行けなくて、店員さんに注意受けて、今度は別のところで買わなきゃな、なんて考えたくなかったよ。でもその方法しかわからなかった。まとわりついて取れないこの気持ちはそれでしか拭えなかったの。
カラオケで飲んで効いたら歌って。しんどくて辛くてどうしようもなく楽しかった。その時は自分じゃなくてよかった。
でも自分じゃない自分を歌が自分にしてくれた。繋ぎ止めてくれた。
苦しかった過去があるから、地続きで今も辛いことがある。でも歌のおかげで、乗り越えてきた過去をなんとなく受け入れてもいいのかなと思えるようになったし今の人間関係を築けるようになった。
だから歌えなくなってしまったら、全てがなくなってしまうような気がして、全てをやめてしまいたくなる。
神様、中途半端に生かしたなら私から歌を奪わないで。中途半端に生かすぐらいならあの時に終わらせてよ。
頭がうるさくて眠れないの
必死になって文字を追うけど私を責める声が邪魔して入ってこなくて
焦りと不安があって自己否定が始まってフラッシュバックして
はやくみつけて、醜い私をぐちゃぐちゃでどうしようもない私を、抱きしめて優しくキスして
そうしたら安心できるから、眠れるから。私を受け入れてほしいだけなの、私の居場所が欲しいの、救いが欲しいの。
一番辛いときに君に出会った。
Twitterの相互フォローという関係ではあったけど、話したことはなかった。でもなんとなく会ってみたくて待ち合わせた。
駅前、時間に遅れてきた君に少し不満だったけど、どうやって話せばいいんだろうという緊張感にそれは掻き消された。
どうやら私たちは生きるのがとても苦手らしかった。それが性別を除く唯一の共通点だった。
周りに話せば重たくなってしまうことも君にならなんだって話せた。
まじで狂ってるね。頭おかしいよ。
と笑いながらいう君の言葉に救われた。言葉にしたらひどいと思う人が多いんだろうなと思った。でもその言葉こそ私を受け入れてくれるものだと思った。初めて私をみてくれた気がしたから。私の醜さを醜いと言ってくれる、嬉しかった気がする。
君は友達が少ない。周りの目が怖い。頭もいい方ではない。でも家族は優しい。恵まれているのにどうしてこうなんだろうとこぼした。
私たちのすべてはカラオケだった。カラオケボックスのちいさなちいさな世界で互いを慰め合って。
頭がおかしかったんだね、君とずっとおかしくいれたら私はそれでよかった。危ないことしてもどうでもよかった。
突然君のアカウントが消えた。
私は取り残されてしまった。苦しかった。いなくなりたかった。私はまた歩き出さなければならない。
でも私の両手は君に引き留められたまま。
ずっと、ずっと覚えている
カラオケで寝転がった私の頭を優しく撫でた君のことを。
手を伸ばしても届かないことに悲しみや諦めを感じることも多い。
でも届かないからこそ、その輝きに焦がれ、思いを馳せ、夢を見たり、どこかの誰かとの繋がりを感じたり出来る。
きっともう会えないあの子とも、この星の下でなら、繋がっていられるような気がして追いかける。
なんか人と違うみたいだから、腕切ってみた。
会話に入れないし、馴染めないし。多分空気も読めないっぽいから宇宙人にわんちゃんかけたの。
ほら、これで青い血でも流れてたら安心できるかなー、なんて、
深く切っちゃったみたいで痛かった。でも深くなくても痛いんだよなって当たり前のこと考える。
左腕には天の川みたいな青くて深いきらめきを信じてたんだけど、
そこにあったのはどうしようもない赤だった。