枯葉を踏む。
ザクザクとした音が心地よくて、今度は右前の葉へと踏み出す。
が、まだ瑞々しいそれは音をたてることはなく靴の裏に張り付いた。
柄じゃないな。こんなことをするなんて。
いつだって僕は彼女の後ろで、彼女のはしゃぐ姿を見ていた。
僕には下らないものでしかなかった。でも。
ただ葉を踏みつけるだけであるのに、そのひとつひとつに喜びを見出す彼女が愛おしかった。
彼女の瞳を通して、世界を見てみたいと思った。
彼女の瞳には僕はどう映っているのだろうか。
少しの幸せ。
それを胸にじんわりと感じながら、次のこの季節に想いを馳せた。
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枯葉
2/19/2024, 7:54:34 PM