鳥のさえずりは風に運ばれ
風は草を撫で枝葉を揺らす
野山の歌に耳を傾け
ただ暮らすのも生きる意味
〈生きる意味〉
私は小さい頃から、春になると
決まって見る夢がある。
それは、黄緑の若葉が茂る 陽射しの温かな
花畑で、どこかの日陰に1つだけ咲く
"青い花"を探す夢。
その花弁は夏空を閉じ込めたように青く、
ガラスみたいに透き通っていて柔らかい。
太陽にかざすと、雪のように溶けてしまう花…
青い花は毎年違う所に生えていて、毎回
「今年は咲いていないのかもしれない」
と不安になったりする。
でも、いつも夢が終わる前には必ず
その花を見つける事ができる。
「良かった、これで今年も春が来る」
と安堵して、昨日よりも少しだけ暖かく感じる
部屋で、目を覚ますのだ。
〈1つだけ〉
朝はご飯の時間に起こしてくれて、
家に帰ると玄関先まで来てくれる。
何も言わずとも寄り添ってくれたり、
相談事は嫌な顔もせず聞いてくれる。
いつもは素っ気ないけれど
時々はハグを許してくれる、
サラサラな毛並みが自慢の
うちの猫たち。
〈大切なもの〉
実は先日、宝くじ1億円が当たりました。
〈エイプリルフール〉
ある朝、僕は太陽が眩しくて目を覚ました。
するとそこは、ヤシの木が一本だけ生えた
いかだ程のサイズの小さな島だった。
島の後ろには二方向に波が広がっている…
(…島が流れている。)
周囲の水はとても穏やかで、波が立つほど
流れが強い様には到底見えない…という事は
やはり、島の方が流れているのだろう。
ぐるりとあたりを見回すと、一人の男が
水平線の向こうを眺め、立ち尽くしていた。
僕は彼に質問する。
「この島はどこへ行くのですか。」
男は、少しも水平線から目を逸らさず言う。
『さあな。どこへ流れ着くと思う』
それが分からないから聞いたのだが…質問に
質問で返された。彼も分からないのだろうか。
「……大陸でしょうか。」
『大陸なんてものが見えるのか、お前には。』
どこか馬鹿にしたようにそう問われる。
僕は立ち上がって、どこまでも続く
青々とした水平線に目を凝らす。
「…見えませんね。」
『だろうな。』
「……。」
『……。』
穏やかな波の音だけが、この場に響く。
『…まあ…島が流れているなら、いずれ
どこかに辿り着くだろう。』
「…それまで、また二人ぼっちですか。」
そう僕が言うと、男はようやくこちらを見た。
『そうなるな。…やはり俺とは嫌か?』
彼は眉をひそめて笑う。
「…貴方の事は嫌いですが…僕等はどうせ
同一人物ですから。」
それは、一生切れる事のない腐れ縁。
…二人は顔を見合わせ、諦めとも嘲笑とも
つかない表情を浮かべた。
『はは、そうだな。こんな所にまで一緒に
来ちまうとは…全く、うんざりだよ。』
〈二人ぼっち〉
…ここで、私は夢から覚めました。
彼等は一体誰だったんでしょうね。